党本部建物や別荘、墓地…非武装地帯周辺に残る朝鮮戦争の遺物
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■体験した人にしか分からない痛み
38度線から北に60キロの位置にある鉄原(Cheorwon)郡も、朝鮮戦争の休戦後に韓国側に組み込まれた場所だ。
軍の検問所に至るほぼ無人の道路には、かつては朝鮮労働党の地域本部だった3階建てのコンクリート建造物の骨組みが残っている。
「私たちがいま立っている場所は、かつては北朝鮮だった」とガイドのキム・ヨンソン(Gim Yong-sun)さんは言った。
坡州(Paju)市郊外には、祖国に二度と帰ることができなかった数百人の北朝鮮兵が眠る墓地がある。ここは韓国で唯一、敵国の戦闘員を埋葬している場所だ。
花こう岩でできた墓石にはそこに眠る人数が刻まれているが、名前は一握りしかない。
DMZ上にある板門店(Panmunjom)には、韓国、北朝鮮それぞれの側に青い小屋が向かい合って立っている。
DMZの西端にある、北朝鮮から5キロも離れていない喬桐島(Gyodong Island)は、有刺鉄線が張られた壁に囲まれている。
理髪師のジ・グァンシク(Ji Gwang-sik)さんは13歳の時、戦争のただ中に、北朝鮮の故郷の村から逃れてきた。
家族が木製の舟で岸をわたるのに「30分もかからなかった」とジさんはAFPに語った。喬桐島から故郷の村が見えるが、70年近く帰ることはできていない。82歳になった今も、故郷の村に戻れる日を心待ちにしている。
「この痛みが分かるのは、同じ体験をした人だけだ」 (c)AFP/Sunghee Hwang