【6月25日 AFP】米ミシガン州デトロイト(Detroit)で、顔認証システムのアルゴリズムに誤りがあったためにアフリカ系米国人の男性が誤って逮捕されていたことが分かった。専門家らは、顔認証技術には人種的偏見を助長する懸念があると指摘している。

 誤認逮捕されたロバート・ウィリアムス(Robert Williams)さんの代理を務める米国自由人権協会(ACLU、American Civil Liberties Union)は24日、顔認証技術に基づく誤認逮捕が明るみに出たのは今回が初めてだとしている。顔認証技術は黒人の顔の識別で不正確な判断をすることが多いと指摘されている。

 ACLUのフィル・メイヤー(Phil Mayor)弁護士は、警察への正式な申し立ての中で、訴追の取り下げ、逮捕記録の抹消、ウィリアムスさんへの公式な謝罪を要求した。さらにACLUは警察に対し、捜査での顔認証技術の使用中止と、警察のデータベースにあるウィリアムスさんのすべての写真の削除を求めた。

 ACLUはツイッター(Twitter)で、「ロバート・ウィリアムスのケースは初めて明るみに出た事例かもしれないが、顔認証システムの誤った検索結果によって、これまで不当に逮捕され取り調べを受けた人は彼以外にもいるはずだ」 「欠陥技術のせいで標的にされたとは知るよしもない人が大勢いると考えられる」と述べた。

 ウィリアムスさんは米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)に寄稿。今年1月に自宅前で逮捕されて30時間拘束され、後になって時計店での強盗事件を捉えた防犯カメラの映像に基づき容疑者と誤認されていたことを知ったとして、「どうしてパパは逮捕されたのかと娘に説明しなければならなくなるとは考えたこともなかった」 「コンピューターの間違いを警察がそのまま聞き入れたということを、2人の幼い娘にどう説明すればいいのだろうか?」とつづった。

 警察の手によって命を奪われたアフリカ系米国人が相次いだことで緊張が高まり、抗議デモが続いている中、IBM、アマゾン・ドットコム(Amazon.com)、マイクロソフト(Microsoft)を含む複数の企業は、誤用を防止する規制が導入されない限り、顔認証技術を警察当局に販売しない意向を示しているが、その他多くの企業の顔認証システムは広く利用されている。(c)AFP/Rob Lever