【6月25日 AFP】重力波検出器を使って昨年検出された、地球から約8億光年離れた正体不明の天体について、欧米の科学者らは24日、過去最小級のブラックホールか、最大級の中性子星の可能性があると発表した。

 この天体は昨年、イタリアの欧州重力観測所(EGO)にある重力波検出器「アドバンスド・バーゴ(Advanced Virgo)」と、米国の二つの重力波観測所で検出され、質量が太陽の約2.6倍と算出された。

 太陽の2.6~5倍の質量を持つ天体は実質的には全く観測されていなかったが、今回検出された天体はこの「質量ギャップ」の中に位置することになる。

 研究チームは、この天体は約8億光年先で、別の未知の天体が大きなブラックホールと合体した際に形成されたと説明。合体により放出された巨大な重力波を、地上で検知することができたという。

 中性子星とブラックホールは、極めて大きな質量の星が核融合反応で爆発する、超新星として知られる現象で形成される。

 研究チームはこの天体の特異な性質について、いく通りかの説明が可能だと話している。最も主要な説は、もともとの天体は比較的小さな中性子星だったが、ブラックホールに事実上「丸ごとのみ込まれた」というものだ。

 米ノースウェスタン大学(Northwestern University)教授で、米レーザー干渉計重力波検出器(LIGO)チームの研究者、ビッキー・カロゲラ(Vicky Kalogera)氏は、「互いの質量が極度に不均等な場合、より小さな中性子星が一口で食べられてしまう可能性ある」と説明している。

 研究結果は、英学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)」に掲載された。

 映像は正体不明の天体の形成イメージ、24日入手。(c)AFP