【6月25日 AFP】バルカン半島でのエキシビション大会を主催した男子テニス、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が、参加後に新型コロナウイルス検査で陽性となった4人目の選手になる過ちにより、再開に向けて動いているテニス界に激震が走っている。

 大きな批判にさらされているジョコビッチは23日、最小限のソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)しか採用されず、数千人のファンが観戦したアドリア・ツアー(Adria Tour)を開催したことについて過ちを認め謝罪した。

 33歳のジョコビッチは大会が「災いをもたらした」ことは「大変申し訳ない」と謝罪。なお、検査のためにクロアチアからベオグラードに戻った後、同行していた妻のエレナ(Jelena)さんからも陽性反応が出たという。

 ジョコビッチは厳しく批判されており、その中には同選手、ひいてはテニスが近い将来にコートへ戻ってくることが許されるかどうかを疑問視する声もあった。

 また、8月31日から開催される予定の全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)をはじめ、プロツアーを8月に再開する動きを懸念する声も多く上がっている。

 アドリア・ツアー参加後、ジョコビッチをはじめ、グリゴール・ディミトロフ(Grigor Dimitrov、ブルガリア)やボルナ・チョリッチ(Borna Coric、クロアチア)、ヴィクトル・トロイキ(Viktor Troicki、セルビア)の陽性が判明。大会で選手はネット越しに抱き合い、バスケットボールも披露。揚げ句の果てにナイトクラブで踊る写真を撮られた。

 歯に衣(きぬ)着せぬコメントで知られるニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)は、この件についてコメントし、純粋に「愚か」だったと批判した。

 また、四大大会(グランドスラム)で通算3勝を挙げ、ジョコビッチとはジュニア時代から旧知の仲であるアンディ・マレー(Andy Murray、英国)は、「このことがテニスにとって良い展望になるとは思えない」と懸念を示した。

 新たな余波として、今月上旬ベオグラードで開催されたバスケットボールのイベントでジョコビッチと一緒に写真を撮った米プロバスケットボール(NBA)のニコラ・ヨキッチ(Nikola Jokic)からも陽性反応が検出されたと報じられている。

 クロアチアテニス協会(HTS)のニコリナ・バビッチ(Nikolina Babic)会長は、エキシビション大会が行われた当時、厳格な保健規則を取ることなく開催しても安全なように思えたと弁明している。

 バビッチ氏は国内の日刊紙ベチェルニ・リスト(Vecernji List)に対し、「われわれがノバクのツアー開催案を受け入れた当時、クロアチアの疫学的状況はかなり良かった」と話した。「小さなミスがあったのかもしれないが、アイデア自体は良かった」

 新型コロナウイルスはジョコビッチの評判を落とし続けている。

 ロックダウン(都市封鎖)のルールを破ってスペインでトレーニングを行い批判されたジョコビッチは、ウイルスのワクチンが開発されても接種を受ける意向はないと表明して世間は眉をひそめた。また、全米オープンで選手に帯同する人員が制限されるのは「極端」で「不可能」だとコメントし、再び世間とは大きく異なる立場をとった。

 またも道を踏み外したことにより、ジョコビッチがATP選手協議会(ATP Player Council)で会長を務めていることに対し疑問の声が上がっている。

 ベテランコーチのポール・アナコーン(Paul Annacone)氏はTennis.com.に対し、「たくさんいる彼の仲間は頭をかきむしっていると思う」とコメントした。

 また、グランドスラム女子シングルスで通算18勝のマルチナ・ナブラチロワ(Martina Navratilova)氏は、「やれやれ。これは良くないし、ある種のパターンね。今度は何? 全米オープン? ローラン・ギャロス(Roland Garros、全仏オープン)? しなければならないことは山ほどある」と話している。(c)AFP