【6月24日 AFP】(写真追加)南極に生息する非常に小さな陸生生物の消化管からポリスチレンの破片が見つかったとの研究論文が、24日に学術誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)で発表された。マイクロプラスチックによる汚染がすでに、世界で最も人里離れた南極の陸上の食物網に「深く」入り込んでいるとの懸念を示している。

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 マイクロプラスチックによる海洋汚染はよく知られているが、研究チームによると、今回の発見はマイクロプラスチックが南極の陸生生物の食物連鎖をも汚染していることを初めて証明したという。

 論文執筆者らは「地球上で最も人里離れた土壌の食物網の一部にさえもプラスチックは侵入しており、生物相と生態系全体を危険にさらす恐れがある」と指摘し、プラスチック汚染が、すでに気候変動の脅威に直面している脆弱(ぜいじゃく)な極地の生態系に対する新たなストレス要因になり得ると警鐘を鳴らした。

 研究チームは、ノミのように跳ねる小さなトビムシの一種「ナンキョクトビムシ」に注目した。

 トビムシは厳密には昆虫ではなく、論文によると、ナンキョクトビムシは厳しい南極の環境に適応した数少ない生物の一つで、氷に覆われていないわずかな土地を「優占していることが多い」という。主に微細藻類や地衣類(藻類と共生する菌類の仲間)を食べる。

 伊シエナ大学(University of Siena)の研究者らが率いたチームは、サウスシェトランド諸島(South Shetland Islands)のキングジョージ島(King George Island)で見つけた緑色の微細藻類やコケ類、地衣類に覆われた発泡スチロールの塊からナンキョクトビムシを採取した。

 この島には研究所や空港、軍事施設、観光用施設などがあり、人が活動するため、「南極で最も汚染された地域の一つ」となっている。

 研究チームは赤外線画像化技術を使ってナンキョクトビムシを調べ、ポリスチレンの破片の画像と比較したところ、トビムシの消化管にポリスチレンの形跡があることを「はっきりと」確認した。

 研究チームは、このナンキョクトビムシは通常の餌を食べる際にポリスチレンの破片も一緒に食べてしまったとみている。(c)AFP/Kelly MACNAMARA