【6月24日 People’s Daily】「オンライン授業なんて、できるの」?数か月前のこと、チベット自治区(Tibet Autonomous Region)ツガツェ市定日県(Dingri)の第2中学の物理教師、スオランラムさんは上海からチベットを支援するために来た姚雪青(Yao Xueqing)さんのオンライン授業をデイスプレー上で見て、疑問をもった。ところが、新型コロナウイルス感染症が流行したことから、スオランラムさんもウェブ・カメラの前に立つことになった。だが、心配は徐々に消えていった。「教師と生徒がうまく反応し合った」とスオランラムさん。

 チベットで育ったスオランラムさんは2003年、初めてチベットを離れ、河南省(Henan)新郷(Xinxiang)の大学で学んだ。彼女は学校の近くのネットカフェで初めてインターネットを経験した。ネットはすべてが新鮮だった。

 スオランラムさんの生徒にとっては、状況は全く違っていた。生徒たちはネットについてよく知っていた。

 姚雪青さんはツガツェ市の上海実験学校で教師をしている。ネットが生徒にもたらす変化に注意していた。姚さんは昨年11月、ツガツェ市内の各県の中学に対してオンライン授業を行った。姚さんは授業の前に動画を生徒に送り、予習をさせた。授業は円滑に進んだ。授業のあと、ある生徒は姚さんと連絡をとり、ネットで得た知識を自慢げに披露した。

 姚さんはうれしそうに、「教育は知識を授けるだけではない。学習の仕方を教えるのも教育だ。そうなれば、生徒はもっといろいろなことができるようになる」と語った。

 ネットにより、チベットの教育情報化の基礎ができた。チベット自治区の教育庁によれば、2019年末の時点でチベットの826の小中学校がネットに接続した。全体の86.3%に達する。

 ネットにより教育の公平化が進むとの期待もある。「辺ぴな地域では教師や資源が不足している。ネット教育により教師の負担が軽減され、生徒が知識を得る効率が高まる」と語るのは教育庁電化教育館の朱生高(Zhu Shenggao)館長。朱館長は「優れた教育がなければ、貧困が次の世代へと引き継がれていく」とも述べた。

 チベットは長年、教育による貧困者支援を推進、成果を挙げてきた。昨年11月には学童の中退が基本的になくなった。

 辺ぴな貧困地域ではネットにより教師や生徒の習慣が変わりつつある。広大なチベットにネットの橋が架かり、膨大な情報が山川を越えて行き交い、無限の可能性をもたらしている。(c)People's Daily/AFPBB News