【6月24日 Xinhua News】中国浙江省(Zhejiang)湖州市(Huzhou)安吉県(Anji)で「6・26国際麻薬乱用撲滅デー」を間近に控えた22日、VR(仮想現実)技術を取り入れたテクノロジーに基づく薬物依存症治療システムが審査に合格し、普及に近づいた。同システムは、VRヘッドセットを通じたシミュレーション場面で薬物依存症患者を刺激して渇望状態にした上で、人を傷つけない非侵襲的装置を介して、神経細胞(ニューロン)の興奮効果が変化するまで安全な電流を放出する。この治療を反復することで、患者の薬物への渇望を低減させる。

 薬物問題を所轄する同省戒毒管理局が研究をリードしたこの技術は、「VR結合型経頭蓋直流電気刺激(tDCS)薬物依存症治療システム」と呼ばれる。tDCS技術は一般に、着用したヘッドギアを介し、電極から頭皮を通じ脳の特定の領域に安全な範囲内の電流を流すことができる。電流によって神経細胞の興奮が増大あるいは抑制される。この興奮性の増減が引き起こす脳機能の変化は、不眠症やうつ病、慢性疼痛(とうつう)、てんかんなどの治療に用いられている。

 このtDCS技術をVR技術と組み合わせることで、依存症治療で効果の大幅な向上が見込まれる。技術支援のため参加した杭州賽翁思科技(セブンス・テクノロジー)の陳泰怡(Chen Taiyi)テクニカルディレクターは、VR技術には深い没入体験をもたらすという特徴があり、VR技術を取り入れて薬物使用に関連する場面や糸口を疑似体験することで、患者の薬物に対する生理的な脳神経の活発度を最大限に刺激できるため、薬物への心理的渇望(すなわち薬物依存)を引き起こすと説明した。

 同システムは省内の衢州市(Quzhou)にある薬物依存治療施設、浙江省十里坪強制隔離戒毒所で、2019年11月中旬から2カ月間にわたり行われた臨床試験に合格した。試験後の薬物依存評価の段階で、偽刺激対照群と比較して、本物の刺激治療群メンバーの薬物に対する渇望度の有意な低下を示す結果が得られた。(c)Xinhua News/AFPBB News