■社会的意識の高いKポップファン

 今回のインターネット運動が、トランプ氏の集会の動員数に実際どれほどの影響を与えたのかを確かめるのは不可能に近い。だが、これによって以前から知られているKポップファンの政治に関わろうとする姿勢が浮き彫りになった。

 韓国でおよそ四半世紀前に誕生したKポップのファンは、今や世界中に広がっている。先月には、反人種差別運動「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」に対抗して人種差別主義者らがツイートした「White Lives Matter(白人の命は大切)」のハッシュタグがついた投稿を、ファンたちがKポップ関連の画像で埋め尽くした。

 米インディアナ大学(Indiana University)のKポップ研究者、セダーボー・サエジ(CedarBough Saeji)氏はAFPに「Kポップには自分に責任を持とうというカルチャーがある」と語った。「Kポップファンは全般的に外向的で、社会的意識が高い。とりわけ米国では有色人種やLGBTQ(性的少数者)を自認する人々の間で、Kポップは圧倒的に支持されている」という。

 アイドルと呼ばれるKポップのスーパースターらは、ロールモデルとなることが期待され、熱狂的なファンの心を動かすことが多いとサエジ氏は説明した。

 BTS自体がBlack Lives Matter運動に100万ドル(約1億円)を寄付したのに続き、BTSファンは有志による慈善活動グループ「One in an Army」を立ち上げ、同額の100万ドルを集めた。

 このファングループの米国版にボランティアとして加わったダウニカ・ナドラ(Dawnica Nadora)さん(27)は、「BTSの曲は私たちが自信を持てるよう励ましてくれ、他者に親切になろうとする気持ち、他人のためにそこにいようとする気持ちを芽生えさせてくれる」と語った。

 サエジ氏は、現代のファンが活動的な背景には「ポジティブなメッセージ性」があると指摘する。「Kポップは音楽好きだけではなく、世界を良くしたいと考えている人々も引きつけている」 (c)AFP/Maggy DONALDSON