【6月24日 AFP】米上院情報委員会は国防総省の未確認飛行物体(UFO)プログラムについて、国民がその活動をもっとよく知り、各関係機関の情報共有を円滑にするために公開報告を求める構えだ。

 同委員会は年次情報授権法案に盛り込まれた条項の中で、「『未確認空中現象タスクフォース(Unidentified Aerial Phenomenon Task Force)』の取り組みを支持する」と述べ、UFOプログラムが現在まで継続して存在していることを公に認めた。

 国防総省は2017年12月、UFO目撃情報調査のための数百万ドル(数億円)規模の秘密プログラムが2012年末まで存在していたことを認めた。だが17年当時の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、このプログラムは依然存在していると報じていた。

 上院がこのプログラムに注目しているのは地球外生物に対する懸念からというよりも、中国など現実世界での米国の敵対者がもたらす脅威ゆえだ。

 米海軍情報局(US Office of Naval Intelligence)が統括するUFOプログラムの任務は、「未確認空中現象および敵対する外国政府とそうした現象との関係、さらにそれらが米国の軍事資産・施設にもたらす脅威に関する情報収集と報告」とされている。中でも米国が懸念しているのは、ドローンやその他の航空技術の使用を含む中国の偵察・諜報(ちょうほう)能力だ。

 上院情報委員会は慎重な扱いが必要な事項であることを認識しながらも、これまでの「情報共有および情報コミュニティー全体での調整には一貫性がなかった」と指摘。プログラムの進捗(しんちょく)状況および観察されたあらゆる現象について詳細な公開報告を求めている。 

 この条項が含まれている2021年度の情報授権法案は今後上院本会議で審議される。可決された場合、国防総省は180日以内に議会に報告書を提出しなければならない。(c)AFP