【7月3日 AFP】サルたちに支配された街へようこそ──。タイ中部ロッブリー(Lopburi)では、サルが増え過ぎてしまい、手に負えない状態となっている。数はここ3年で6000頭に倍増し、人間との共存はほぼ限界に達しつつある。

 住民らはサルが家に侵入しないよう防御策を講じなければならず、ある住民は、網をかけた自宅のベランダを指さしながら「自分たちはおりの中で生活しているのに、サルは外で気ままに暮らしている」「至る所ふんだらけで、特に雨の日は臭いが耐えられないほどひどい」とこぼした。

 怖いもの知らずのサルたちはロッブリー中心部にある寺院、プラーン・サームヨート(Prang Sam Yod)の周辺一帯を支配し、塀の上から辺りを監視したり、車のドアのゴム部分を引き剥がしたりしている。

 新型コロナウイルスの感染拡大以前は、餌をやったり、一緒に写真を撮ったりするために訪れる大勢の観光客のお目当てであることから、住民たちはサルのおふざけも大目に見てきた。

 しかし、新型コロナの影響で外国人観光客が訪れなくなり、サルの行動に思いも寄らない変化が起きた。餌となるバナナが与えられなくなり、腹をすかせたサルたちが凶暴化したのだ。

 事態の収束を図るため、住民自らが餌を与えるようになったものの、住民らによると炭酸飲料や菓子類といった砂糖が多く入った食事により、サルの繁殖力が強くなってしまったという。

 タイ当局は今月、3年間中止していたサルへの避妊手術を再開。果物でおびき寄せて動物病院に連れて行き、手術を行い、施術後は印としてタトゥーを入れている。

 しかし、サルの数を減らすには手術だけでは不十分な可能性もあり、当局は長期的な対策としてサルの保護区の設置を検討している。(c)AFP/Stephane DELFOUR and Pitcha DANGPRASITH