■一部には不満の声も

 こうした意見に異を唱える声も聞こえる。

 ある公務員の女性は、「ウイルスに国境はない」のにスウェーデンばかりが取り上げられることが理解できないと不満を漏らした。「スウェーデンに存在する新型コロナウイルスは他国と同じくらいなのに、誰もがスウェーデンのことばかり話題にしている…国で区別するのはおかしい」

 一方、スウェーデンは他国に比べて新型コロナを重大視していない、他のスカンディナビア諸国の死者数は計5000人にも満たないのに、スウェーデンだけで5000人を超えているとの指摘も挙がっている。

 スウェーデンは、他のほとんどの国と異なり、新型コロナ拡大を抑制するためのロックダウン(都市封鎖)は実施しなかった。カフェやバー、レストラン、大部分の企業と16歳未満を対象とした学校は通常通りだった。

 だが同時に、可能な限り在宅勤務をすること、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)と衛生ガイドラインを順守すること、70歳以上の高齢者とリスクが高い人々に家で過ごすことを求めていた。

 政府観光機関「ビジット・スウェーデン(Visit Sweden)」のトップ、エバ・ラーゲルクヴィスト(Ewa Lagerqvist)氏は、否定的な報道は海外での「スウェーデンのイメージに当然、影響を与えている」とし、今夏の観光客は減少するとの見通しを示した。

 だが、ラーゲルクヴィスト氏はいずれ元に戻ると確信している。数か月前と比べ、既にスウェーデンに興味を示す人が多くなっているという。

 アン・リンデ(Ann Linde)外相は、海外でスウェーデンに対する否定的な見方が広がっていること、とりわけパスポートなしでの往来を含めた1950年代から続くスカンディナビアの国境を超えた連携に懸念を抱いている。

 リンデ氏は14日、日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(Dagens Nyheter)に「スカンディナビア間の協力が悪影響を受けることを憂慮している」と語った。

 一方、ステファン・ロベーン(Stefan Lofven)首相は、スウェーデンの状況は改善していると主張している。

 同氏はスウェーデン放送(Swedish Television)で先月、「多数の人に検査をしていた時期に、感染件数の急増があったようだ。だが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した人の数は減りつつあり、死者数も減少している。当局はリンゴとオレンジを比べるのではなく、リンゴとリンゴを比べ始めなければならない」と述べた。(c)AFP/Pia OHLIN, with Camille BAS-WOHLERT in Malmo