【7月2日 AFP】スウェーデンは長年、男女平等や人権などの分野で世界に先んじているとの名声を得てきた。だが、新型コロナウイルスで他国よりも穏やかな対応を取ったため、その評判はがた落ちとなり、今や欧州の大部分で、スウェーデン人は歓迎されなくなっている。

 6月15日には欧州の多数の国が国境を開放した。しかし近隣のデンマーク、ノルウェー、フィンランドをはじめとする少なくとも7か国がスウェーデン人の入国を禁止した他、5か国が入国時に隔離を義務付けている。

 6月末時点でのスウェーデンの新型コロナウイルス感染症による死者は5300人を超え、人口10万人当たりの死者数は53人と、致死率が最も高い国の一つとなっている。

 スウェーデンはその透明性、安全性、ユニバーサルヘルスケア、倫理性、進歩性などが評価され、米コンサルティング会社「レピュテーション・インスティテュート(Reputation Institute)」の実施する調査で、2016年と2018年、2019年に世界で最も評判の高い国に選ばれた。

 そんなスウェーデンにとって、のけ者になるのは未知の経験だ。今やスウェーデン人の多くは、夏季休暇旅行の中止を余儀なくされている。

 ある企業の人事担当役員の男性は、多くのスウェーデン人と同じように批判を冷静に受け止めている。男性はAFPに、「私はいつも世界各地の人と話をするが、メディアと政治家が発しているような敵対的な見解は誰も持っていない」と語った。「何らかの理由で私たちを恐れることがあっても、それはその人なりの対処法であって、私はそれを尊重する」

 この男性は今年の夏に家族で行くはずだった、欧州旅行を中止せざるを得なくなったという。