■大声で歌うことが醍醐味のビールの祭典「オクトーバーフェスト」は…

 しかし、同研究所のベルンハルト・リヒター(Bernhard Richter)所長は、「今回の研究ではエーロゾル(エアロゾル)の測定は行っていない」と注意を促している。エーロゾルは、室内ではるかに遠距離まで広がる可能性のある微粒子だ。

 パフォーミング・アーツ医学研究所は5月末、室内にいる人数やリハーサル時間の制限、2メートルの対人距離の確保、部屋の常時換気、聖歌隊メンバーのスクリーニング検査、マスクの着用などを盛り込んだガイドラインの改定版を公開した。

 だが、独西部フランクフルトにある教会の礼拝で新型ウイルスの集団感染が発生したことにより、歌唱の潜在的な危険性がまたもや浮き彫りになった。信徒らはマスクを着用せずに賛美歌を歌っていた。この礼拝で少なくとも40人が感染し、全体として112人に感染が及んだ。

 ロックのコンサートやビールの祭典「オクトーバーフェスト(Oktoberfest)」などの大規模なイベントでも、歌唱によってウイルスが拡散する恐れがある。オクトーバーフェストでは参加者らが声を張り上げて歌う行為はイベントに欠かせない醍醐味(だいごみ)で、9月末から10月にかけて毎年開催されるこの祭典が今年は中止とされている理由の一つであることは疑いようがない。

 独内務省の報道官はAFPの取材に、同国内では大規模イベントの開催が少なくとも8月31日までは全面的に禁止されているため、あくまでも「仮の話だが」として、開催については「感染の状況がどのように進展するか次第だ」と話した。(c)AFP/Femke COLBORNE