【6月23日 AFP】世界的な反人種差別デモの広がりのきっかけとなった米国の事件と同様、フランスの首都パリでも今年1月、警官らに拘束された男性がその後死亡しており、22日現在、関与した警官4人の事情聴取が続いている。

 死亡した配送ドライバーのセドリック・シュビア(Cedric Chouviat)さん(42)は今年1月3日、パリのエッフェル塔(Eiffel Tower)付近で行われていた交通規制で警察に車両を止められた。

 AFPも確認した捜査当局の入手映像によると、シュビアさんは警官に体重をかけられて胴体を押さえつけられ、22秒間に7回「息苦しい」と言っていた。

 また2人の目撃者は、シュビアさんが首を圧迫する「チョークホールド」と呼ばれる拘束手法で押さえつけられていたと述べている。

 映像を分析した専門家は、シュビアさんが警官を「役立たず」「負け犬」などと呼んでいるほか、何度か自分に触るなと言っていると述べ、「『挑発的』あるいは『抵抗的』な言葉ではあるが、ごく一般的なやりとり」だと指摘。また、「拘束以外の場面ではとりたてて乱暴な言葉や音は記録されていない」という。

 しかし、「映像の11分16秒のところでシュビアさんが警官に『ばか』と言い、相手の警官が彼を拘束することを決意」したといい、「続く22秒間は、判別不能ないろいろな音が聞こえる。拘束された男性は繰り返し『息苦しい』と言っており、また警官らが『いいから、いいから、手錠をかけろ』と言っている声も入っている」という。

 シュビアさんの「息苦しい」という訴えは、警官の拘束下で死亡した米国の黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんの「息ができない」という最後の言葉とも重なる。

 パリの検察当局が発表した検視報告によると、5人の子どもの父親だったシュビアさんは「喉頭部が骨折」し、窒息が原因で拘束から2日後に病院で死亡した。検察当局は過失致死容疑で本件の捜査を開始している。(c)AFP/Mehdi Cherifia and Benjamin Legendre