【6月23日 AFP】フェイスブック(Facebook)など米交流サイト(SNS)大手がヘイトスピーチ投稿や暴力扇動に十分な対策を講じていないとして、米企業数社は人権団体らが呼び掛けた新たな運動に参加し、同サイトへの広告掲載を見合わせると発表した。

 米アウトドア用品業界のパタゴニア(Patagonia)、ザ・ノース・フェイス(The North Face)、REIや、クラウドソーシング大手の「アップワーク(Upwork)」がフェイスブックへの広告掲載ボイコットに名を連ねている。

 パタゴニアはツイッター(Twitter)の公式アカウントで、公民権運動活動家らが先週発表した取り組み「Stop the Hate for Profit(利益のためのヘイトをやめよう)」に参加すると表明。「巨大ソーシャルメディアによる有意義な行動を期待し、現時点から少なくとも7月末まで、フェイスブックとインスタグラム(Instagram)から全ての広告を引き揚げる」と発表した。

 この運動には、反ユダヤ主義を監視する人権団体「名誉毀損(きそん)防止同盟(ADL)」、全米黒人地位向上協会(NAACP)、黒人人権団体カラー・オブ・チェンジ(Color of Change)、独立系メディアのフリー・プレス(Free Press)、人権団体スリーピング・ジャイアンツ(Sleeping Giants)が賛同している。企業では、パタゴニアと同じくカリフォルニア州に本社を置くザ・ノース・フェイスが19日に最初に合流した。

 米国では現在、ソーシャルメディア大手がドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の投稿を含めた誤情報や扇動的なメッセージの投稿を野放しにしているとして、対策を求める声が高まっている。

 NAACPはツイッターの公式アカウントで、「わが国の民主主義に取り返しのつかないダメージが与えられているにもかかわらず、フェイスブックとその最高経営責任者(CEO)マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏は、誤情報の拡散に対し、もはや単なる怠慢ではなく無関心であることが明白だ」と非難した。

 トランプ大統領はSNS上で頻繁に物議を醸す投稿や扇動的なメッセージ、不正確な情報を発信しているが、ザッカーバーグ氏は数日前にもトランプ氏の投稿を制限することはしないとの決定を明らかにしたばかり。今回の運動の賛同団体らはザッカーバーグ氏の決定を批判している。

 フェイスブックのキャロリン・エバーソン(Carolyn Everson)副社長は声明を発表し、「わが社はあらゆるブランドの決断を深く尊重し、ヘイトスピーチを除外し有権者に必要不可欠な情報を提供するという重要な仕事に引き続き注力していく。広告主や公民権団体と、いかにして共に善を促進する力となれるかについて話し合っていく」と述べた。(c)AFP