【6月23日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は22日、北大西洋条約機構(NATO)の主要同盟国であるトルコがリビアでもはや容認できない「危険なゲーム」を演じていると激しく非難した。

 マクロン氏は昨年、NATOは「脳死」に陥っていると述べて加盟国間に物議を醸したが、今回はその明らかな例がリビアにおけるトルコの行為だと発言。トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領を激怒させそうだ。

 リビアでは国連(UN)が承認している暫定政権「国民統一政府(GNA)」と、ハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)司令官率いる有力軍事組織「リビア国民軍(LNA)」による内戦が続いており、トルコはGNA側を支援している。

 一方、フランスはエジプトやロシア、アラブ首長国連邦(UAE)と並んでLNA側を支援していると疑われているが、あくまで中立だと主張し続けている。

 そうした中、フランスのために保守系団体や宗教団体をスパイした容疑でトルコ人4人が逮捕されたと、親政府系のトルコ紙が報じた。

 これを受け、マクロン氏はパリでチュニジアのカイス・サイード(Kais Saied)大統領と会談した後、「私はきょう、トルコがリビアで危険なゲームを演じており、ベルリンでの会議(今年初めの停戦協議)で交わされた全ての約束に違反していると確信している」と発言。さらにトルコの行為はリビアとその近隣諸国や周辺地域ばかりか欧州の利益をも脅かすものだと述べ、「トルコがリビアで果たしている役割はもはや容認できない」と非難した。

 一方、エジプトのアブデルファタハ・シシ(Abdel Fattah el-Sisi)大統領が20日、リビアでトルコが支援するGNA側の部隊が、北部のLNAの要衝シルト(Sirte)に進軍した場合はエジプトが介入する可能性があると警告したことについて、マクロン氏は「正当な懸念だ」と理解を示した。

 さらにマクロン氏は、「半年後、あるいは1年後、2年後に、リビアが現在のシリアのような状況に陥っているのは見たくない」と述べた。(c)AFP/Mariëtte Le Roux and Stuart Williams