【6月23日 AFP】世界保健機関(WHO)は22日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者の死亡率を低下させる効果を示している安価なステロイド薬、デキサメタゾンを急きょ増産するよう呼び掛けた。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、英国での臨床試験の結果が先週発表されたことを受けてデキサメタゾンの需要はすでに急増しているが、増産は可能だと確信していると述べた。

 臨床試験は英オックスフォード大学(Oxford Unversity)のチームが主導で行ったもので、新型コロナウイルス感染症の患者約2000人にデキサメタゾンを投与したところ、最も重症の患者の死亡率が35%低下したという。

 WHO本部からテレビ会見したテドロス氏は、「まだ予備段階のデータだが、ステロイド薬デキサメタゾンに新型コロナウイルス感染症の重症患者の命を救う可能性があるという最近の発見は、われわれが切望していた祝福に値する理由をもたらした」「次の課題はデキサメタゾンを増産し、最も必要としているところに重点を置きながら、世界中に迅速かつ平等に分配することだ」と述べた。

 さらにテドロス氏は、重症患者が多数いる国を優先する必要があるとしつつ、「粗悪品や偽造品が出回るリスクが高い」ため、供給側は品質を保証する必要があると警告した。

 WHOではデキサメタゾンの使用は厳重な臨床的管理の下、重篤および重症患者のみを対象に行うべきだと強調している。一方、「軽症患者への効果や予防効果があるという証拠はなく、危険を及ぼす可能性がある」とテドロス氏は警告した。(c)AFP/Robin MILLARD