【6月23日 AFP】男子テニス、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が主催し、バルカン半島を転戦するエキシビション大会のアドリア・ツアー(Adria Tour)に出場した後、グリゴール・ディミトロフ(Grigor Dimitrov、ブルガリア)に続き、ボルナ・チョリッチ(Borna Coric、クロアチア)とヴィクトル・トロイキ(Viktor Troicki、セルビア)までもが新型コロナウイルスの陽性者となったことを受け、テニス界では8月のツアー再開に疑問の声が上がっている。

 世界33位のチョリッチが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性が判明したと22日に発表した数時間後、さらにはトロイキが同様の結果を明らかにした。これに先立ち、21日にはディミトロフが新型コロナ陽性を公表し、パンデミック(世界的な大流行)の影響でシーズンが中断して以降では最大規模となっている今大会の棄権を余儀なくされていた。

 チョリッチはツイッター(Twitter)に、「この数日間で僕と接触した皆さんには、検査を受けてもらいたい!」「何かしら迷惑をかけているかもしれず、本当に申し訳ない! 今は気分は良くて何の症状もない。どうか、安全と健康を保ってくれ!」と投稿した。

 クロアチアのテレビ局N1によると、ジョコビッチのコーチ陣とディミトロフ陣営の別のメンバーも、ウイルスの検査で陽性だったとされている。一方のトロイキは前週、セルビアの首都ベオグラードでジョコビッチと対戦していた。

 アドリア海に面したクロアチアのザダル(Zadar)で行われていたツアー2週目の20日に、ディミトロフはチョリッチとの試合で敗れた後、体調不良を訴えて大会を棄権。すると直後には、ATP選手協議会(ATP Player Council)の会長を務めるジョコビッチとロシアのアンドレイ・ルブレフ(Andrey Rublev)との決勝が、安全を考慮してすぐさま中止された。

 オーストラリアのニック・キリオス(Nick Kyrgios)は、チョリッチのツイートに容赦ない反応を示し、「『エキシビション』を開催したのは、まぬけな判断だ」「早く回復してくれよ、だけどこれは一連の感染防止対策を軽視した結果だ。ジョークじゃないぜ」とソーシャルメディアに投稿した。

 今大会には世界3位のドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)をはじめ、2014年の全米オープン(US Open Tennis Championships 2014)王者マリン・チリッチ(Marin Cilic、クロアチア)、同7位のアレクサンダー・ズベレフ(Alexander Zverev、ドイツ)、フィリップ・クライノビッチ(Filip Krajinovic、セルビア)も参戦していた。

 ズベレフとチリッチはツイッターで、これまで世界で約46万5000人が犠牲になっている新型コロナウイルスの検査結果が陰性だったと公表。ズベレフがこれから「自主隔離のガイドライン」に従うとしている一方で、チリッチも14日間の隔離期間に入る意向を明らかにした。

 報道では、ジョコビッチが検査結果を受け取った後、23日に会見で話す予定だとされている。

 アドリア・ツアーは、新型ウイルスの影響で3月半ばから中断して空白となっている今季のカレンダーを埋めるために組まれた大会で、前週ベオグラードで開催された1週目には、ドナウ(Danube)川堤防に隣接するジョコビッチ所有のテニスセンターに1日約4000人のファンが集まった。

 ディミトロフやジョコビッチ、そしてティエムは他の選手らと同様に、人でにぎわうベオグラードのナイトスポットで姿が目撃されていた。ティエムはその後、別のエキシビション大会でプレーするために南仏ニース(Nice)に移動した。(c)AFP