【6月22日 AFP】ドイツの検察当局は22日、内戦で荒廃したシリアの拘禁施設で人道に対する罪に当たる行為に及んだ疑いで、ドイツ在住のシリア人医師を逮捕したと明らかにした。

 独連邦検察当局の発表によると、逮捕されたのはアラー・M(Alaa M.)容疑者。同容疑者は2011年、シリア情報機関が同国ホムス(Homs)で運営する拘禁施設で、「少なくとも2つの事件で収容者の拷問に及んだ」疑いが持たれている。

 同容疑者は、抗議活動に参加したとして拘束された男性が、同施設内でてんかんの発作を起こしたため、対応に当たるよう依頼を受けて施設を訪れた。

 しかし容疑者は男性を、プラスチック製のパイプで殴打。「男性が倒れた後も殴打し続けた上、さらに蹴り上げた」という。

 その翌日、同容疑者と別の医師が男性をさらに殴打。男性はその後死亡したが、死因は明らかになっていない。

 容疑者は2015年半ばにシリアを離れ、ドイツへ移住後も医師として働いていた。

 在英NGOのシリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)は、政府の拘禁施設で、拷問の他、施設内のおぞましい環境が原因で死亡した人は、少なくとも10万人に上ると推定している。(c)AFP