【9月13日 AFP】中国・上海に暮らすエコーさんは、会社勤めの夫の帰宅が日常的に真夜中を過ぎることに不信感を覚え、10年目となる結婚生活にひずみが生じるまでになっていた──。

 ある日、夫の携帯電話を見て、それまでの不信感が別の感情に置き換わった。「微信(WeChat、ウィーチャット)」のアプリには、夫の浮気癖を示す他の女性たちからのメッセージがあふれていたのだ。

 ウィーチャットなどのメッセージサービスは、中国での「人間関係のあり方」に革命をもたらすものとなっているが、それと同時に、別の相手との浮気を容易にし、結婚生活の破綻を増長しているとも非難されている。

 さまざまな要因で離婚が増加している状況を懸念する中国政府は5月、離婚協議中の夫婦に1か月の「クーリングオフ(冷却)期間」を義務付ける法律を可決した。

 エコーさんは現在、夫と一緒に結婚カウンセラーからアドバイスを受けている。そして、テクノロジーの発展については、「人と知り合うのがいっそう簡単になった。誘惑があってもおかしくない」と話し、一定の理解を示している様子だ。

 女性が接客するバーが多く、性産業も盛んな中国では、伴侶以外の相手と性的な関係を持つ人はこれまでもいた。ただ、中国人の性行動に関する権威ある研究者が行った2015年の調査によると、中国では近年、浮気が急増しているという。

 急速に発展したテクノロジーについて、上海の結婚カウンセラー、ジュー・シェニョン(Zhu Shenyon)氏は、カップルにのしかかる社会・経済的なストレスに拍車をかけていると指摘する。そして、キャリアや金銭面のプレッシャーは増え、出張旅行も多くなり、義理の親たちの介入もある中、女性たちは満足できない結婚生活に耐えようとはしなくなっているとも付け加えた。

 AFPの取材でジュー氏は、「(中国)社会は極端に、急激に発展しすぎている」「われわれの社会は急速に比較的裕福になったが、物質的な幸福は働く時間の増加と家庭を築き維持する時間の減少を意味する」と話した。