【6月22日 AFP】ハンガリーで最も人気の高いニュースサイトの編集長が21日、組織改革により報道の自由が脅かされ、オルバン・ビクトル(Viktor Orban)首相に批判的な記事の掲載ができなくなる恐れがあると警告を発した。

 ニュースサイト「インデックス(Index.hu)」のドゥル・サボルチ(Szabolcs Dull)編集長は、「ハンガリー最大のニュースサイトで、残り少ない独立系報道機関が、重大な危機にある」との声明をサイト上に発表した。

「提案された組織改革」によってインデックスが「外部圧力にさらされ、われわれの知る編集部は終わりを告げるかもしれない」と述べたドゥル氏は、「われわれが求めているのは、政治家や、政府の伝令役や、財界関係者が記事に介入する力を持たないニュースサイトだ」と言明。「あと数日でインデックスの命運が決まる」とつづっている。

 声明は、ハンガリーでも著名なジャーナリスト数十人の連名で発表されている。

 ニュースサイト「24.hu」が同日報じた組織改革案によると、インデックスの記事作成業務の大半は外注され、現在所属する編集部員は解雇される可能性がある。この計画について、インデックス経営陣は新型コロナウイルス危機に伴う広告収入の減少を理由にしているという。

 インデックスをめぐってはこの動きに先立ち、オルバン首相を支持する実業家が今年3月、同サイトと契約する広告代理店の株式の50%を取得していた。

 民族主義者のオルバン氏は2010年に首相に返り咲いて以降、公共メディアを政府のプロパガンダ(政治宣伝)機関につくり変えてきた。インデックスのように政治スキャンダルを報じる独立系報道機関は近年、倒産・廃業するか、政権に近い実業家や企業などに買収されて急激にオルバン氏寄りの編集方針に転換している。方針を転換したメディアには、国から潤沢な広告費が流れ込んでいる。(c)AFP