伝統のラダー・フレームからアルミのモノコック・シャシーへと生まれ変わった、新型ディフェンダーがついに上陸した。

新型ディフェンダーがついに日本へやって来た。正規インポーターによる日本市場への導入は、2005年まで行われていた先代の2.5Lディーゼル・モデル以来のことで、なんと約15年ぶりということになる。発表会は新型コロナウイルスの影響を鑑みYoutube上のオンラインで行われ、約1300人がリアルタイムで視聴した。この発表会の直後に催された車両撮影会で現車を確認できたので報告する。

発表会では、まずジャガー・ランドローバー・ジャパン代表取締役のマグナス・ハンソン氏が登壇。ディフェンダーは1948年に登場したランドローバー・シリーズ1から続く、ランドローバー社のいわば象徴的なモデルであり、イヴォークやヴェラールといったラグジュアリー指向のレンジローバー・ファミリー、汎用性や機能性を重視したディスカバリーやディスカバリー・スポーツの属するディスカバリー・ファミリーに続く、第3のファミリーと紹介。独自性のあるシンプルなデザインや、想像を絶するほどの悪路走破能力とオンロードでの快適性を兼ね備えていること。さらにはアンダー500万円〜という驚きの価格設定や、パーソナリゼーションが可能な豊富なラインナップとオプションに触れ、これぞ究極のSUVだと語った。

今回空輸でやって来たという2台のディフェンダーは、いずれも110(ワンテン)と呼ばれる5人乗りないしは7人乗りが選択できるロング・ホイールベース・モデルだ。この110という数字は、もともとランドローバー・シリーズⅢを経て先代ディフェンダーへと受け継がれたもので、かつてはホイールベースが約110インチ(2790mm)であることを意味していた。ただし新しいディフェンダー110のホイールベースは3022mmと、実際のインチ・サイズよりもずっと伸びている。ショート・ホイールベースで5人乗りとなる90(ナインティ)の設定もあるが、こちらもホイールベースは2587mmと、かなり伸びている。

110のボディ・サイズは全長5018mm(スペアタイヤ含む)、全幅が2008mm(ミラーを倒した状態・ミラーを展開した場合は2105mm)、全高が1967mm。兄貴分のディスカバリーと比べると、65mm幅が狭いだけで、62mm長く、79mm高いのだが、直線基調のデザインと愛らしい丸いLEDライトのせいか、実際の数値よりも、むしろずっと小さく感じられる。なお最小回転半径は20インチ・ホイールを履いた110で6.1mだという。価格は以下の通り。

■90
ディフェンダー            499万円
ディフェンダーS            582万円
ディフェンダーSE            648万円
ディフェンダーHSE            730万円
ディフェンダーFIRST EDITION    739万円

■110
ディフェンダー            589万円
ディフェンダーS            663万円
ディフェンダーSE            732万円
ディフェンダーHSE            812万円
ディフェンダーFIRST EDITION    820万円
※FIRST EDITIONは製造開始から1年限定のモデル。

白いルーフとパンゲア・グリーンの組み合わせの110は、アドベンチャー・パック(37万40円・工賃別)というセット・オプションを備えたSEグレードの7人乗り仕様。右後方のタスマン・ブルーの110は、エクスプローラー・パック(55万4840円・工賃別)を備えたスタンダード・グレードの5人乗り仕様で、前者は19インチ、後者は20インチ・ホイールを装着していた。

切り立ったテール・エンドとルーフ後方の左右に設けられたアルパイン・ライトと呼ばれる小さな窓は、先代から受け継がれたディフェンダーのデザイン・アイコンだ。90はコイルサスが標準だが、110はエアサスが標準装備となる。エアサスは悪路走行時に+145mm、乗降時は-40mmに車高を調整することが可能。渡河浸水性能は900mmで、ほぼショルダー・ラインのすぐ下まで水が来ても走行することができるという。
シンプルかつ機能的な、パンゲア・グリーンのインテリア。なおグレードはSEとなる。日本仕様はすべて右ハンドルと8段ATの組み合わせだ。メーター・ユニットはグレードによって全面液晶に。セカンドおよびサード・シートは可倒式。
日本仕様のパワーユニットは現時点では最高出力300ps/5500rpm、最大トルク400Nm/1500-4000rpmを発揮する2Lターボのインジニウム・ガソリン・エンジンのみで、8段ATを介して4輪を駆動する。英国などに設定のある2Lディーゼルの導入については交渉中だという。なお90についてはコロナウイルスの影響などにより、110に比べ生産が遅れているようだ。
タスマン・ブルーの110はエクスプローラー・パックを備えたスタンダード・グレードの5人乗り仕様で、Cピラーには脱着可能な鍵付きの小物入れ「エクステリア・サイドマウント・ギアキャリア」を装備する。

なんといっても注目はそのシャシーだ。ジャガー・ランドローバー・グループはアルミ・モノコック・シャシーへの移行が比較的早く、レンジローバーは2013年登場の4代目から、ディスカバリーは2016年登場の5代目で従来のラダー・フレームをベースとした複合シャシーからの脱却を果たしていた。新型ディフェンダーも、D7xというレンジローバーやディスカバリーが用いているD7系のアルミ・モノコック・シャシーを用いており、車体剛性はランドローバー史上最も頑丈で、先代の約3倍のねじり剛性を確保する。サスペンション・システムも先代の前後リジッド・アクスルから前ダブルウィッシュボーン式、後マルチリンク式へと刷新された。

もう1つの注目はライフスタイルに合わせて、ユニークなオプションを幅広く用意していること。たとえば今回展示されていたアドベンチャー・パックは、様々なアクティビティで役立つ機能が満載だ。ボートなどを膨らませることのできる「インテグレーテッド・エア・コンプレッサー」や「ポータブル・シャワー・システム」をを装備。このほかにもパック・オプションはもう1台展示されていた走破能力を高めるオプションが満載のエクスプローラー・パックと、カントリー・パックおよびアーバン・パックの計4種類が用意されている。

納期については非常に人気が高いこともあり、受注を開始した4月上旬にオーダーした車両が2020年秋頃に、これからのオーダーでは2021年以降になるという。ただ、今回キュレイテッド・スペックという新たなグレードも発表された。これは90が2モデル、110が3モデルの計5モデルが用意され、通常のオーダーよりも納期が短縮できるという。

■キュレイテッド・スペック
ディフェンダー90ファブリック・シート仕様                    542万5000円〜
ディフェンダー90レザー・シート仕様                    690万円〜
ディフェンダー110ファブリック・シート&5人乗り仕様            630万3000円〜
ディフェンダー110ファブリック・シート&7人乗り仕様            683万7000円〜
ディフェンダー110レザー・シート&7人乗り仕様(パノラミック・ルーフ付き)    843万3000円〜

伝統的なスタイルと悪路走破性を受け継ぎながら、現代のニーズに合わせてバリエーション豊富なオプションが用意された新型ディフェンダー。非常に戦略的な価格設定もあり、間違いなく2020年における輸入車の目玉となるだろう。

新型ディフェンダーの発表とともに就任が決定した新しいアンバサダー、ラグビーの稲垣啓太選手(写真左)もオンライン発表会に登場。先輩である田村優選手(写真右)や、女子プロゴルファーの原英莉花選手(写真右から2番目)とともにトークショーを行い、イベントの最後に新型ディフェンダーのボンネットに3人でサインを記した。ディフェンダーの左に立つのはジャガー・ランドローバー・ジャパン代表のマグナス・ハンソン氏。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=山田真人/ジャガー・ランドローバー・ジャパン

(ENGINEWEBオリジナル)