【6月23日 AFP】米カリフォルニア州で警官2人が殺害された事件をきっかけに突如、警察当局最大の懸念と化している動きがある。極右勢力を中心とする過激な新潮流「ブーガルー(Boogaloo)」だ。

 今年になるまでほとんど名前を聞くこともなかったこの「ブーガルー」の信奉者や支持者は最近、さまざまな抗議デモの場に銃などで武装して登場するようになった。

 当局が警戒を強めたのは、カリフォルニア州で警官2人を殺害し、16日に起訴された空軍軍曹のスティーブン・カリージョ(Steven Carrillo)被告がブーガルーに傾倒していたためだ。

 カリージョ被告は同州オークランド(Oakland)で5月29日に行われた反人種差別デモ「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」の際、走行中の車両から警官を銃で撃って殺害。さらに今月6日、サンタクルーズ(Santa Cruz)周辺で捜査中の警官を待ち伏せして射殺した。発見された被告の車には多数の銃器や爆発物の材料が積まれており、ボンネットには自らの血でブーガルーを意味する「boog」の文字と極右勢力がよく使うフレーズが書かれていた。

 ブーガルーという言葉はインターネット上でここ数年、ゲーマーの間やアングラ系掲示板で「暴動」や「内戦」を意味する俗語として使われていた。元となっているのは、この言葉を冠した1984年のブレークダンス映画のタイトルだが、これを銃支持・反警察・反公権力を掲げる白人男性を中心としたユーザーらがもじって、「新たな市民戦争」を表す言葉に転化させたものだ。

 カリージョ被告の警官射殺事件以外にも4月以降、ネバダ州ラスベガス(Las Vegas)やテキサス州、コロラド州などの各地で暴動誘発を目的とする計画や警官への殺害予告など、ブーガルー支持者らによる事件が相次いでいる。

 ブーガルーは組織化されておらず、信奉者はネオナチや白人至上主義グループを中心に、リバタリアンやアナキストもいる。だが特徴的な傾向は、警察や政府といった公権力を嫌悪していることと、銃をはじめとする武器を愛好している点だ。内輪の冗談では、花柄のハワイアンシャツの下にミリタリーベストを着ているといった言い方もある。