【6月22日 AFP】ナイル川(Nile River)の巨大ダムをめぐりエチオピアとエジプトの対立が深まっている問題で、スーダンは21日、対立の激化に警鐘を鳴らし、両国にさらなる交渉を促した。エジプト、エチオピア、スーダンは数年にわたり、大エチオピア・ルネサンスダム(Grand Ethiopian Renaissance Dam)の貯水量や運用をめぐって何度も協議を重ねてきた。しかし合意には至らず、3国の緊張関係は高まっていた。

 スーダンのヤセル・アッバス・ムハンマド・アリ(Yasser Abbas Mohamed Ali)かんがい・水資源相は21日、「わが国は対立の激化を望んでいない。交渉こそが唯一の解決策だ」「わが国にとって、合意文書への署名はダムへの注水の前提条件だ。スーダンはそれを要求する権利がある」と記者団に語った。

 エジプトは19日、国連安全保障理事会(UN Security Council)に協議への介入を求めた。同国は、水供給量が大幅に減る恐れがあるとして、このダムを国の存亡がかかる脅威とみなしている。ナイル川はエジプトの水需要の約97%をまかなっているだけでなく、流域10か国にとって水と電力を供給する生命線にもなっている。エジプトは、ダムはナイル川の流量を脅かし、同国の食料供給と経済に悪影響を及ぼすと主張している。

 一方エチオピアは、合意の有無にかかわらず、来月から注水を始める方針を発表。ダムは同国の発展に不可欠で、エジプトの水資源に影響を及ぼすことはないと主張している。(c)AFP