【6月〇日 CNS】「以前はヤク(チベット牛)を売るために、町まで30キロの道のりを2日間かけたものですが、今はわずか1時間になりました!」。中国・四川省(Sichuan)アバ・チベット族チャン族自治州(Ngawa Tibetan and Qiang Autonomous Prefecture)にある吾克基村(Wukejicun)に住む格波さんは、草原の中をまっすぐ伸びる道路「尚藍天路」を眺めながら、満足げに話した。「これで、漢方や薬膳料理に人気の冬虫夏草や貝母(バイモ)、それに牛乳など全部売りやすくなりました!」

「尚藍天路」はアバ・チベット族チャン族自治州壌塘県(Rangtang )上杜柯郷(Shangduke)と南木達鎮(Nanmuda)を結ぶ道路。標高3000メートルを超え、うねった草原の尾根の部分を通り抜け、多くの村を結びつけた全長は約40キロに達する。

 移動時間の劇的な短縮は村人の暮らしを豊かにした。「かつては、町でヤクを売る時に値段の交渉はできませんでした」と壌塘県交通局の何東明(He Dongming)副局長。遊牧民は馬に乗りながらヤクの群れを引き連れ、道なき草原を通って町にたどりつくだけで労力を費やし、3年間育てたヤクを言い値で売り渡すだけだった。今は「天路」が村民に値段を交渉する権利を与えた。1頭のヤクの価格は以前の約2倍になり、8000元(約12万591円)から9000元(約13万5665円)で売れるように。さらに一部の企業が購入のため村に訪れるようになり、村人は常にヤクを町に連れて行く必要もなくなった。

「尚藍天路」では最も標高が高い4200メートルの道路に、一度に100人近くが見学できる展望台も建設した。青く輝く草原が見渡せ、数十キロ先では山々と空が一体化したように見える。「天路」の誕生で観光シーズンの7月と8月には、遠方から観光客の車が次々と訪れている。吾克基村の譲尕さんは「私たちは自宅で観光客に伝統的な農村料理を提供したり、ヤクの肉やバターを売ったりしています。自然の食材はとても人気があります」と喜んでいる。(c)CNS/JCM/AFPBB News