【6月21日 AFP】メルセデスAMG(Mercedes AMG)に所属するフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)の世界王者ルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が、モータースポーツを志す黒人の若者を増やすことを目指し、多様性を推進する団体を自ら設立した。ハミルトンは、「形だけの行為はもうやめにするべきだ」と力説している。

【関連記事】ハミルトン、人種差別に沈黙するF1界を批判

 F1唯一の黒人ドライバーであるハミルトンは、世界中で活発な反人種差別の運動が続く中、影響力のある力強い声を発してきた。そして今回、王立工学アカデミー(Royal Academy of Engineering)と共同でハミルトン・コミッション(Hamilton Commission)を立ち上げ、「僕らの暮らす複雑で多文化な世界と同じくらい多様な」モータースポーツ界の実現を目指すことになった。

 ハミルトンは英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)の記事で「自分はカーレーサーとしてのキャリアを通じて、人種差別の恥辱と闘ってきた。カートレースをやっていた頃には他の子どもに物を投げつけられ、F1デビューしたての2007年のグランプリでは黒塗りのファンにやじられた」と話した。

「スポーツ面では成功を収めたが、組織的な壁はずっと残っていて、F1は今も非常に排他的だ」「僕の存在や、黒人を新たに1人雇ったことを指して、大きな前進だとは言えない。何千人という人が働く業界なんだから、もっと一般社会を映した集団にする必要がある」

 王立工学アカデミーとの提携は、科学や技術、工学、数学の研究に携わる若い黒人を増やすことを目指し、ハミルトンは、団体を通じて黒人のキャリアの選択肢が増え、F1界で働くマイノリティーの数が増えてほしいと願っている。

 年間優勝6回のチャンピオンは「ありきたりな言葉や、形だけの行為はもうやめにするべきだ」「ハミルトン・コミッションを通じて、現実的で、具体的な、数値で表せる変化を起こせればと思っている」と話している。

「20年後に振り返ったときに、スティーブニッジ(Stevenage)出身の内気な労働者階級出身の黒人の子どもにたくさんチャンスを与え、僕らの暮らす複雑で多文化な世界と同じくらい、多様になったこのスポーツを目にしたいんだ」 (c)AFP