【6月21日 AFP】元フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)ドライバーで、19日にトラックと衝突する事故に遭ったアレックス・ザナルディ(Alex Zanardi)の現状について、医師が「神経の損傷が激しい」と明かした。

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 約20年前のレース事故で両脚を切断した後、ハンドサイクルのパラリンピック金メダリストとなったザナルディは、イタリアで行われていたレースで自転車のコントロールを失い、トラックと衝突した。

 ザナルディはシエナ(Siena)近郊の病院にヘリコプターで搬送され、繊細さを要求される3時間の神経修復手術を受けた後、人工的な昏睡(こんすい)状態に置かれている。頭部に重傷を負っており、視力に問題が出る可能性があるという。

 搬送先の病院の医師たちは「気管にチューブを挿入し、人工呼吸を行っている」「神経学的な状態は今も深刻だ」とコメントした。

 救急科の医長は「状態は安定している」「全体としては良好だが、神経学的には今も深刻な状態」と話し、「目の負傷」については「視力に影響が出る可能性もあるため、眼科の医師たちに詳しい助言を求めたが、評価が定まるのは数日後だ」と言及した。

 手術を担当した神経外科医は、ザナルディのけがは「非常に深刻」で、「状態は安定しているが、神経の損傷が激しく、度合いもはっきりしない。不安定になり、状態が悪化する可能性も否定できない」と話している。

「現時点で、神経学的な状態についてお話しすることはできない。数日後、本人が目を覚ませればそのときに分かるだろう」「容体は深刻で、命の危険があると言える。こういうケースでは、ゆっくりとしか状態は良くならず、一方で猛烈に悪化する場合がある」

 事故をめぐっては、ザナルディが参加していたハンドサイクルのリレーレース「オビエッティボ・トリコローレ('Obiettivo tricolore)」の運営に対する捜査が始まっている。

 パラサイクリング・イタリア代表のコーチは、ザナルディがヘアピンカーブでコントロールを失い、「2回転」した後に走ってきたトラックとぶつかったと話している。トラックの運転手は後にアルコールと薬物の検査を受けたが、どちらも陰性だったという。(c)AFP