【6月20日 AFP】インドのナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は19日、中印国境の係争地で発生した両国軍の衝突でインド兵20人が死亡したことを受け、自国が「傷つき怒っている」とし、新たな暴力沙汰が発生した際には同国軍に自由に対応できる権限が与えられていると警告した。

 衝突は15日、ヒマラヤ(Himalaya)の高高度地域に位置するラダック(Ladakh)地方ガルワン(Galwan)渓谷で発生。 この衝突をめぐって両国は非難の応酬を繰り広げ、両軍はくぎや有刺鉄線で覆われたこん棒や、石を使って乱闘を繰り広げ、中国側にも犠牲者が出た。

 中国は拘束したインド軍の将校2人を含む兵士ら10人を解放した一方、この数時間後にモディ首相はくすぶり続ける危機について協議するため野党党首らと異例の会談を呼び掛けた。

 中国製品の不買運動や、死亡した兵士らのため大々的な公葬を執り行うよう求める声が高まる中、モディ氏は「中国が取った措置に、国全体が傷つき、怒っている」と話した。

 モディ氏はまた、「われわれの領土内に」中国兵はいないとし、政府にとって「主権を守ることが最優先」だと主張。「軍は必要な措置を取るため、自由な裁量が与えられている」とも述べた。

 インド軍によると、この衝突で兵士18人が重傷を負い、現在も治療を受けている。また、治安当局はAFPに対し、4人が深刻な容体であることを明らかにした。

 死亡したインド兵の葬儀には大勢の人が参列し、中国製品の不買運動を呼び掛ける場となった。複数の都市では、中国国旗や同国の習近平(Xi Jinping)国家主席のポスターが燃やされた。

 一方で中国側は、同国軍に死傷者が出たことを認めているが、人数は明らかにしていない。(c)AFP