【6月20日 AFP】元フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)ドライバーで、約20年前のレース事故で両脚を切断した後にハンドサイクルのパラリンピック金メダリストとなったアレックス・ザナルディ(Alex Zanardi)が19日、イタリアで行われたハンドサイクルのレース中にトラックと衝突し、病院で「極めて深刻な状態」に陥っている。

 伊トスカーナ(Tuscany)州で開催されていたハンドサイクルのリレーレース「オビエッティボ・トリコローレ('Obiettivo tricolore)」に出場していたザナルディは、モンタルチーノ(Montalcino)近くのヘアピンカーブでコントロールを失い、走ってきたトラックの車線に突っ込んだ。

 頭部と顔に重傷を負った53歳のザナルディは、シエナ(Siena)近郊の病院にヘリコプターで搬送されて緊急手術を受け、集中治療室に移送された。病院の発表によると、「頭部の重傷により、神経外科手術と顎(がく)顔面の治療が午後7時過ぎに始まり、同10時前に終わった」「その後、集中治療室に移され、状態はかなり深刻である」という。

 イタリアのパラリンピック代表チームのコーチを務めるマリオ・バレンティニ(Mario Valentini)氏は、伊全国紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)に対して、「アレックスはハンドサイクルの制御を失い、2度横転してトレーラーに衝突した。恐ろしい事故だった」と述べた。

 フォーミュラカー参戦時代に米国の「CART」で2度総合優勝を果たした実績を持つザナルディは、2001年にドイツのサーキット、ラウジッツリンク(Lausitzring)で起きたレース中の事故で両脚を切断した。

 その後はハンドサイクルに参戦し、2012年のロンドンパラリンピックと2016年のリオデジャネイロパラリンピックで金メダル4個と銀メダル2個、世界選手権では10個のタイトルを獲得。今夏には東京パラリンピックに出場する予定だったが、大会は来年に延期された。(c)AFP/Emmeline MOORE