【6月21日 CNS】中国・甘粛省(Gansu)甘南チベット族自治州(Gannan Tibetan Autonomous Prefecture)のチベット族の民衆は、1000年を超える長い期間、水と草を追って日々を過ごしてきた。近年、自治州では民衆の暮らしを良くするため、「環境改善+観光業」による貧困脱却を図り、1000のチベット村を建設した。遊牧民が遊牧生活に別れを告げ、村の家屋に定住することを促している。

 今月、自治州の碌曲県(Luqu)尕秀村(Gaxiu)を訪れると、光にあふれる良い陽気だ。迎えたのは尕秀村の幹部、ラモガさんだ。民宿の経営者でもある。

 青い空と白い雲の下、チベット風の建築様式でデザインされた赤い家屋が整然と並び、ラモガさんは昔を思い出し、感慨深そうだ。前世紀の60年代、この村の遊牧民は草原の移動式のテント暮らしで、固定の居住地は無く、雨風にさらされる遊牧生活だったという。

 碌曲県は2003年、幹線道路の国道213号線の両側に尕秀の游牧民の定住用家屋を建設し、村人が山から降り、定住するよう呼びかけた。当時、山から下りるように村人を説得することは大変なことで、ラモガさんは感慨ひとしおだ。

 尕秀村の村民、ゴンボガさん(68)は2005年に山奥からこの定住地に移ってきた。自然の景色を特色とした民宿を始めると、暮らしは日に日に良くなっていった。現在、収入は2倍以上に増え、チベット族の民俗文化を知ってもらえることが何よりもうれしいという。

 近年、当地の政府は、遊牧民の一層の増収を目的とし、新たな観光プロジェクトに着手。2019年、尕秀村は国家4A級景勝地に指定され、受け入れた旅客はのべ80万人に上る。

 統計によると、同自治州が2019年に受け入れた国内外の観光客はのべ1447万人、観光収入は74億元(約1100億円)に達する。尕秀村には民宿が52軒あり、観光業に従事する村人は約300人、1戸あたりの収入は3万元(約45万円)を超える。(c)CNS/JCM/AFPBB News