【6月18日 AFP】石川県にある北陸先端科学技術大学院大学(Japan Advanced Institute of Science and Technology)の研究チームが、シャボン玉を使って人工授粉させ結実することに成功した。研究結果は17日、学術誌「アイサイエンス(iScience)」に掲載された。ハチの個体数減少が懸念される中、今後数十年で食料供給の維持に欠かせない技術になるという。

 同大の都英次郎(Eijiro Miyako)准教授が、シャボン玉を人工授粉に使ってみるという一風変わった方法を思い付いたのは、近所の公園で息子と遊んでいた時だった。シャボン玉の一つが3歳の息子の顔ではじけた時に着想を得たという。

 都准教授と共著者シー・ヤン(Xi Yang)氏は、カルシウムなどを加えた最適なシャボン液を作成。一つ当たり花粉粒子2000個を混ぜ込んだシャボン玉を、バブルガンからナシ果樹園に放った。この結果、対象となった花の結実率は95%となった。都准教授によると、シャボン玉は効率的に人工授粉できる方法で、手間と労力がかかる手作業による人工授粉と同程度の割合で実を付けたという。

 その後、研究チームは、所定の経路を飛行するようにプログラミングされた小型ドローンにバブルガンを搭載し、空からの人工授粉を試みた。花が咲いていなかったため、ユリの造花を対象に行った。2メートルの高さから毎秒2メートルの速度で飛ばしたところ、90%の成功率だったという。

 都准教授は、将来的な商業化について企業と協議中だと話した。またドローンの精度を向上し、自動で花を目標にできるようになるにはさらなる研究が必要だとしている。

 今回の研究は、花粉を運ぶ機能を持たせたシャボン玉と、自律飛行ドローンを組み合わせた人工授粉の研究としては初めてだと考えられる。(c)AFP/Issam AHMED