【6月17日 AFP】南米エクアドル領ガラパゴス諸島(Galapagos Islands)で、自分の種を絶滅から救うため数十年にわたって繁殖に励んできた雄のエスパニョーラゾウガメ「ディエゴ(Diego)」。よわい100を超えるというディエゴが15日、種ガメとしての役目を終え、故郷の島へと戻っていった。

 ディエゴはサンタクルス(Santa Cruz)島にあるガラパゴス国立公園(Galapagos National Park)の繁殖センターから、無人の離島エスパニョーラ(Espanola)島へと移送された。

 エクアドルのパウロ・プロアノ(Paulo Proano)環境相はツイッター(Twitter)に、国立公園の運営における「重要な一章を閉じようとしている」と投稿。精力的な働きを見せたディエゴを含むエスパニョーラゾウガメ25匹が「数十年間にわたる繁殖によって自分たちの種を絶滅から救い、故郷へと戻ることとなった」とツイートし、労をねぎらった。

 サンタクルス島の繁殖プログラムにおけるディエゴの功績は、とりわけ特筆に値する。公園の管理者らは、島内のカメ2000匹のうち少なくとも4割はディエゴの子孫と考えている。

 およそ半世紀前、エスパニョーラ島には雄2匹、雌12匹しかエスパニョーラゾウガメがおらず、また、おのおのが離れて生息していたため、繁殖は困難だった。

 1960年代半ばに繁殖プログラムが立ち上げられ、種の保存のためディエゴが米カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)の動物園から連れて来られた。

 ガラパゴス国立公園の関係者らは、ディエゴが20世紀前半に科学調査を行っていた探検隊によってガラパゴス諸島から持ち出されたと考えている。

 映像は無人の離島エスパニョーラ島へ移送されるディエゴと他のエスパニョーラゾウガメ。13、15日撮影・提供。(c)AFP