【6月17日 AFP】フランスで16日、医療予算引き上げを求める医療従事者の大規模なデモが、パリなどの都市で行われた。パリでは一部のデモ参加者が警察に物を投げつけ、警察は催涙ガスを使用した。

 医師、看護師、事務員らが平和的なデモ行進を行い、新型コロナウイルス危機を受けて医療制度を徹底的に見直すと約束した政府にその実行を要求した。

 しかし、パリのデモ隊が市中心部の歴史的建造物「廃兵院(アンバリッド、Les Invalides)」前に到着すると、黒い服に身を包んだ集団が車両に火を放ち、警察に向かって物を投げつけながら「誰もが警察を憎んでいる」と連呼し始めた。

 また複数の車両を横転させるなどの行為に及んだため、警官らが催涙ガスを使用。現場は混乱し緊張が走った。

 警察の発表によると、廃兵院前にいたデモ参加者は約1万8000人で、この中に過激化した反政府デモの参加者250〜300人が紛れ込んだとみられる。

 パリ警察本部はツイッター(Twitter)で「暴力的な団体が、医療従事者の平和的なデモで緊張を高めようとした」と述べた。警察は32人を逮捕したと明らかにした。

 フランス救急医師協会(AMUF)のパトリック・プルー(Patrick Pelloux)会長は仏民放BFMに対し、「彼らはこのデモを力ずくでハイジャックした」「嫌悪感を覚える」と述べた。

 中には涙を流しながら暴徒化したデモ隊に向かって「あなたたちは私たちの抗議デモを破壊した」と訴える看護師もいた。

 フランスの医療従事者らは以前から低賃金と人員不足に不満を表明しており、この1年というもの予算増額を求めるストライキを繰り返してきた。

 警察とデモ隊の衝突は北部のリール(Lille)、西部のナント(Nantes)、南部のトゥールーズ(Toulouse)でも発生した。(c)AFP/ Valentin Bontemps with Gabriel Bourovitch