【6月21日 CNS】現在、一種の「取り合い合戦」が欧米などの国で演じられている。取り合いとなっているのは、庶民の身近な乗り物の自転車だ。ロシアのEコマースサイト「Wildberries」によると、5月のロシアの自転車販売台数は前年同期比60倍となった。欧州のネット通販会社のデータによると、5月のスペインでの自転車売り上げは前年同期比23倍となり、イタリアや英国も約5倍となっている。また、米国の通勤用とフィットネス用自転車も昨年比で66%増、レジャー用自転車は121%増となっている。

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 マスク、トイレットペーパー、呼吸器に次いで、自転車が欧米のユーザーが追い求める商品となったのだ。この情勢は「Made in China」の自転車にどんな影響をもたらすのか、取材を行った。

 中国自転車協会の王震蒙(Wang Zhenmeng)研究員によると、自転車が多くの国で取り合いとなっている「ニュートレンド」の中国に対する影響は小さくない、という。「4月以来、ある中国の自転車メーカーの輸出向けオーダーが前月比で30%以上増え、生産能力オーバーとなった。工場は急増する注文に24時間態勢で生産しているが間に合わない状況だ」という。

「新型コロナウイルスの感染拡大により、欧米各国の自転車購入需要は大幅に増加したが、各国の自転車生産台数は需要に全く追い付かない。国内供給が足りないので、海外からの買い付けとなり、「自転車王国」と言われる中国が主な輸入目標となる」と王研究員は言う。

「ウイルスの感染拡大後、中国で生産された感染症対策物資が次から次へと世界各地に輸出され、輸出額は1日あたり30億元(約460億円)を超える。自転車は感染症対策物資ではないが、全世界的に感染が常態化する中で、自転車は廉価で健康的な乗り物として需要は大きい」と王研究員は語る。

■求められる自転車産業の方向転換

 欧米の自転車需要の急増によって、中国の自転車業界はその恩恵を受けられるのか、との問いに対し、王研究員の回答は必ずしも楽観的ではない。

 中国の自転車産業の未来について、王研究員は「輸出の増加は厳しい状況にある」という。中国製の自転車はハイエンド品ではないからだ。海外ブランドの「Trek」や「Specialized」の販売価格が1000ドル(約10万7000円)以上もするのに対し、中国製自転車の販売価格は平均で1000元(約1万5000円)もしない。

 王研究員は、自転車のハイエンド市場に入れることは挑戦だという。中国の自転車産業は製品競争力と利益率を引き上げ、国際基準にまで引き上げるよう努力が必要だ。同時にスポーツ自転車等の新たな領域を開拓し、ブランド力を高め、信頼を勝ち取らねばならない、と言う。(c)CNS-科技日報/JCM/AFPBB News