【6月16日 AFP】ベトナムの国営メディアは15日、別の飼い主のペットだった数十匹の犬や猫を毒殺したとして男女2人が逮捕されたと報じた。地元当局は、肉を食料品店や市場に売る「ペットさらい」の取り締まりを強化していた。

 ベトナムの一部地域では、犬の肉はごちそうとされ、伝統的に酒やビールとともに食される。猫の肉は、犬ほどの人気はないものの、いくつかの料理で食材として用いられ、しばしば「小さいトラ」とあだ名される。

 だが、犬や猫たちを大事にして飼っている家庭も多い。

 そうした中、首都ハノイの南約200キロに位置する北部タインホア(Thanh Hoa)省の住民らは14日、自分たちのペットの死骸が路上に散乱しているのを発見。

 国営ニュースサイトVNExpressによると、住民らは警察に通報し、警察がその後「死んだ犬や猫を袋に回収していた」男女を拘束したという。

 別の国営ニュースサイトによると、警察はこの男女が借りている住宅からシアン化物と食肉処理用の道具を発見した。

 二人は複数の地域で犬や猫を捕まえ、他省へ移送して食用肉として売るつもりだったと供述したと伝えられている。

 AFPは警察に報道について確認を求めたものの、返答は得られなかった。

 ハノイ市当局は2018年、市のイメージを傷つける上、狂犬病をまん延させる恐れがあるとして、住民らに犬肉食をやめるよう呼びかけていた。

 ベトナムには食用犬や猫の飼育施設がほとんどなく、多くの場合、違法に捕獲されている。

 また、動物愛護活動家によれば、食肉処理もしばしば残酷な方法で行われているという。

 市当局者は以前、徐々にこの習慣が消滅することを期待していると話しており、実際に中部ゲアン(Nghe An)省では先月5人が逮捕されるなど、当局は近年取り締まりを強めているが、ペットの犬や猫の盗難は続いている。(c)AFP