【6月15日 AFP】(更新)ロシアでスパイ行為をしたとして起訴されていた元米海兵隊員のポール・ウィラン(Paul Whelan)被告(50)について、モスクワ市裁判所は15日、矯正労働収容所での懲役16年の判決を言い渡した。ただウィラン被告は、「でっち上げ」の裁判だと訴えている。

 同裁判所は、ウィラン被告が機密情報を入手したとして有罪と判断。同被告は「でっちあげ裁判」と記されたメッセージを掲げ、米大統領の介入を求めた。

 被告は2018年12月に拘束されて以来、モスクワ市内の刑務所に拘禁されてきた。裁判は、国家機密の入手を企図した罪に問われていたことから、非公開で行われた。

 判決を受けてマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は、「きょうロシアの裁判所が、密室裁判で秘密の証拠に基づき、弁護側からの証人も適切に認めることなく米国民のポール・ウィラン氏に有罪判決を言い渡したことに憤りを覚えている」と表明した。

 被告は、結婚式に出席するためモスクワを訪れた際、知人から受け取ったUSBドライブを持ち込んだが、そこには休暇中の写真が保存されていると思っていたと主張。当初から一貫して無実を訴えている。

 英国とカナダ、アイルランドの旅券も保持しているウィラン被告をめぐっては、拘束者交換で米国に帰国できる可能性があるとの見方もある。

 ウィラン被告の弁護人は同日、ロシアの情報機関が、麻薬密輸容疑で拘束されているパイロットら、米国で拘束されているロシア人2人と同被告の交換を検討していると述べた。(c)AFP