■「水は命」

 ナバホの人々は自らを「ディネ(Dine)」、自らの土地を「ディネタ(Dinetah)」と呼び、「水は命だ」と語る。

 この三つの言葉は、2万7400平方マイル(約7万平方キロ)ほどの居留地内のあらゆる壁に書かれている。アリゾナ、ユタ、ニューメキシコという3州にまたがる土地は地理的な多様性に富んでおり、印象的な砂岩のある乾燥した砂漠は、次第に高原と高山の森林に取って代わる。

 その豊かさは「スイートウオーター」「農場の湖」「柳の春」といった地名にも表されている。

 しかしこうした地名は、もはや現実を反映していない。

 水資源関連の支援を行う米NPO「ディグディープ(DigDeep)」の報告書によると、気温上昇と降雨量の減少により、居留地の表流水は20世紀にかけて推定98%減少したという。

 政府が常にこの問題を放置していることが原因の一つだと、2012年にディグディープを創設したジョージ・マグロウ(George McGraw)氏はいう。

 米国では19世紀半ば、上下水道への重点的な投資が開始された。だが、米国人約3億3000万人のうち約200万人は今日でもこうした設備を利用できていない。

 マグロウ氏はAFPに対し、連邦政府の主なインフラ投資から忘れ去られた広大な一帯があり、そこには主に黒人や先住民が暮らしていると語った。

 先住民族がこの影響を最も受けている。水道設備がない世帯は、白人では1000世帯当たり3世帯にとどまるが、先住民では58世帯に上る。