■他国から「香港のために闘いたい」

 BNO保持者の数は、香港民主派デモの参加者への取り締まりが激しさを増した過去12か月間で2倍近く増え、現在約35万人となっており、さらにここ数週間で多くの人が申請に殺到している。

 しかし、ンーさんはジレンマに直面している。妻と2人の子どもにはBNO資格の申請権がなく、加えて英政府は家族も対象に含めるかどうか今のところ明らかにしていないからだ。

 中国の大学が香港住民800人以上を対象に行った最近の調査では、移住を最も強く希望している年齢層は18~24歳で、50%以上が移住を検討している。だが、昨年の民主派デモの中心となったこの世代のうち、23歳未満の大半には現時点でBNO資格の申請権がない。

 香港返還時に生後3か月だったアスカ・ロー(Asuka Law)さん(23)は、BNO資格を持っている。今年大学を卒業した彼女は、30歳未満の若者に2年間の滞在と就労許可が付与される英国のワーキングホリデー制度を活用して、10月には香港を離れる予定だ。

 ローさんは間もなく香港から、異論を唱える権利がなくなってしまうのではないかと危惧している。

「時間はあまり残されていないと思う」とローさんは言う。「この街でこれ以上何かをするのは難しい。反対意見は一つ残らず徹底的に弾圧されるだろう」

 ローさんは、香港の同胞を海外から支援するビジネスを立ち上げたいと語る。「安全な避難場所を提供する仕事を、誰かがやらなければならない」

 ローさんの友人で家庭教師をしているリース・タン(Reese Tan)さん(25)も、若い世代ならではの構想を持っている。他国で「香港のための闘い」を続け、国際支援を取り付ける運動に参加するつもりだと語った。「逃げるわけじゃない。香港はいつでも僕の故郷だ」 (c)AFP/Su Xinqi