【6月19日 CNS】中国・南京市(Nanjing)の女性が、虚構の旅程で「航空機遅延保険」を購入し、保険求償を900回行った上、計300万元(約4500万円)を獲得していたことが報じられた。現在、この女性は現地警察に詐欺罪と保険詐欺罪の容疑で勾留されている。

 ネットユーザーの中は、このような警察の対応は強引すぎるとの意見が多い。「ルールは保険会社が決めたもので、彼女はそのルールを利用しただけで、詐欺というのはどんなものか」や「人、航空券、航空機遅延にウソはないのに、なぜ詐欺と言うのか」などの意見が相次いで寄せられている。

 事件を振り返ると、おおよその経緯は次のとおりだ。女性は、かつて航空サービス会社で働いた経歴がある。女性はまず、遅延率の高いフライトを調べる。次にそのフライトルートの気象予報を調べ、悪天候の有無を確認。遅延の可能性の高いフライトを絞り込むと、女性はさまざまな異なる名義で航空券を購入し、同時に遅延保険を大量に購入する。遅延が発生すると、保険会社に求償を行う。フライトが遅延する可能性がないと判断すれば、飛行機が出発する前に航空券をキャンセルし、損失を抑える。

 本事件の中で、容疑者の女性が勾留された理由は、女性が他人名義で航空券とフライト遅延保険を購入したことは、存在しない保険対象者を故意に捏造(ねつぞう)した行為であり、補償金をだまし取ったことは、客観的に刑法に定める詐欺行為にあたる、と判断されたためだ。

 保険契約というものは一種の射倖(しゃこう)契約であり、その特徴は保険対象には不確定性がある点だ。本事案に照らして言えば、保険契約を結んだ時点で、女性はフライトが必ず遅延すると確定できない。しかし、女性が情報を集め、予測を行い、自身に有利な決定をしてはならない、ということではない。

 女性の行為は、要するに、ルールの欠陥を利用して自身のための利益を得ようとしたもの。保険会社がこのような行為を見たくなければ、まず、保険約款と付保ルールを修正すべきだ。そして、裁判所で保険契約の無効を主張すべきだ。何でもすぐに警察の介入を求めるようなことはすべきではない。警察権力への依存は、問題解決を引き延ばしかねない。

 市場経済の中では、人々が知恵を絞り商売を行い稼ぐことを奨励している。稼ぎ方は人によってまちまちだが、奇をてらうような方法や、不合理なもうけ方もあるかもしれない。だが、不合理な方法は必ずしも違法とは言えない。女性の行為について言えば、投機的行為ではあるが、犯罪とは言い切れない。(c)CNS-新京報/JCM/AFPBB News