【6月15日 AFP】ブラジルの老人ホームで、高齢の入居者との抱擁を可能にする独創的な「ハグカーテン」が利用されている。とりわけ新型コロナウイルスに弱い高齢者にとってはうれしい発案だ。

 サンパウロ(Sao Paulo)市の老人ホームに取り付けられたのは、大きなプラスチック製のカーテンだ。カーテンには入居者と訪問者がそれぞれ腕を入れるための穴が取り付けられており、カーテン越しとはいえ、新型コロナウイルスにより数か月にわたり不可能だった抱擁を交わすことができるようになった。さらなる予防措置として、利用者は手袋と黒いアームカバーも着用する。

 裕福な地区のモルンビ(Morumbi)にある老人ホームで、シルビオ・ナガタ(Silvio Nagata)さん(68)は姉のルイーザ・ヤスコ(Luiza Yassuko)さん(76)と感動の長い抱擁を味わった後、AFPの取材に「とても心地良かった。彼女に会えなくてとても寂しかった」と語った。

 4600万人を擁するサンパウロ州は、ブラジルで最も裕福で人口が多い州だが、新型ウイルスによる被害が最も深刻な州でもある。最新の公式集計によると、同州ではこれまでに17万2875人の感染が確認され、1万581人が死亡した。

 ブラジルのこれまでの死者は4万2720人、感染者は85万514人で、いずれも米国に次いで世界で2番目に多い。

 映像は13日撮影。(c)AFP