【6月16日 Xinhua News】中国浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)の浙江大学(Zhejiang University)で12日、山西省(Shanxi)にある世界遺産「雲岡石窟」の洞窟の一つを3Dプリンターで再現したレプリカの組み立てが完成した。3Dプリンターによる移動可能な原寸大の洞窟レプリカは世界で初めてだという。

 高精度デジタル技術と3Dプリント技術で制作された同レプリカは、「音楽窟」とも呼ばれる雲岡石窟第12窟の前殿後室を再現。洞窟の形状や精巧で美しい彫像はもちろん、長い年月で風化した細かな傷までが正確に表現されている。

 雲岡石窟の「音楽窟」の深さは14メートルで、幅11メートル、高さ9メートル。5世紀に開削され、内部には天空の伎楽や中国内外の楽器が彫刻されている。中国最古の「宮廷交響楽団」といわれており、中国の音楽・舞踊史において重要な位置を占める。

 浙江大学文化遺産研究院と雲岡石窟研究院の共同プロジェクトチームは、2016年からデータの収集と処理、構造設計、パーツのプリントや着色などの作業を進め、数々の技術的な問題を克服してきた。洞窟のデジタルデータの精度は0・03ミリで、完成したレプリカの誤差は2ミリ未満、色彩再現度は95%以上となっている。

 同レプリカは、2メートル平方のブロック110個を6層に分けて積み上げている。ブロックは軽量素材で作られており総重量は約2トン。標準コンテナ8台に積載し輸送することができ、組み立てには1週間を要する。杭州で完成披露展示会を行った後、世界各地で巡回展を行うという。(c)Xinhua News/AFPBB News