【6月16日 東方新報】最近中国政府は、南中国海に面した海南島(Hainan Island)を関税がゼロの自由貿易港に仕立てる計画を進めている。

 国務院新聞弁公室は8日の記者会見で、この計画の主旨を「新型コロナ感染症が全世界の経済を衰退させ、保護主義が台頭している現在、中国は依然としてこれまでのテンポで、対外開放をさらに高いレベルに高め、多国間主義を堅持し、経済のグローバル化を推進するため」と説明した。

 説明によると、海南自由貿易港建設計画は貿易、投資、クロスボーダー資金流動、人や物資の往来が自由便利で、またデジタルデータの安全で秩序が保たれた流通など各方面で体系的な制度の構築を進めるという。

 貨物貿易では、「ゼロ関税」を基本的特徴とする自由で便利な制度を整え、サービス貿易では「申請即審査批准」を基本的特徴とする自由化、利便化を進め、投資における自由便利の面では「禁止項目以外はあまねく許可」を実行し、各分野で市場を担う事業者の活力をさらに発揚させることを目指すとしている。

 計画によると、2025年までに海南島のビジネス環境を中国国内の一流のレベルにまで整備を進め、35年までに海南自由貿易港を中国の開放型経済の「新たな高み」に到達させるとしている。

 公平で透明で予測可能なビジネス環境を創り上げるため、現地政府の審査案件受理は「審査中・審査後に監督管理を確実に行う」ことで監督義務を果たすという仕組みにし、外国企業の投資に対しては、批准前に内国民(企業)待遇に加え、自由貿易港専用の「ネガティブリスト」管理制度を採用する。

「禁止項目以外はあまねく許可」の原則は、海南自由貿易港の存続と一層の公平性の確立の助けになり、「みな平等」のビジネス環境は、内資も外資も区別なく、国有企業も民営企業も分け隔てなく、内地の企業も外地の企業もみな同じとなるものとしている。

 海南自由貿易港では今年年内に「クロスボーダーサービス貿易のネガティブリスト」を制定する予定だが、これは中国で初のサービス貿易に関するネガティブリストとなる。港の建設の全ての過程で、イノベーションの「遺伝子」を取り入れていくという。

 注目に値するのは、港の建設計画の将来性と周辺の自由貿易港との間での優位性の相互補完だ。共同で発展し、力を結集して、区域と全世界の経済発展を推進するとしている。

 海南省(Hainan)統計局のデータによると、20年第1四半期(1~3月)の海南島対アセアン諸国ならびに「一帯一路(Belt and Road)」沿線国家との貨物貿易の輸出入総額は急速に伸長しており、海南省全省の輸出入総額の81.2%を占めている。

 中国政府は、海南自由貿易港の建設を通して、世界に向け「中国は一貫して貿易と投資の自由化と便利化を推し進め、全世界の経済開放と協力を促進すること」を希望している。(c)東方新報/AFPBB News