【6月14日 AFP】ペルーの農村で、ブロードバンドのプロバイダー企業の技術者8人が次世代通信規格「5G」アンテナを設置していたところ、アンテナが新型コロナウイルス感染症の原因になると考えた村民に拘束された。その後8人は解放されたと、地元警察が12日、明らかにした。

 8人のメンテナンス作業員は、首都リマから南東に500キロ以上離れたアコバンバ(Acobamba)郡の村民に今月10日から拘束されていた。

 地元の警察署長はペルーのテレビ局TV PERUに対し、「8人の作業員らは通信会社から派遣され、教育施設などの公共の場所に設置したインターネット用アンテナのメンテナンスを行っていたが、村民はこのアンテナは5G用であり、新型ウイルス感染症を引き起こすという理由で8人を拘束している」と説明していた。

 ワンカベリカ州警察のレニ・パラシオス(Leni Palacios)氏はAFPに対し、「全員が解放された」と話すとともに、体調も良いと明かした。

 同氏によると、運輸省および地元自治体、プロバイダー企業のジラット・ペルー(Gilat Peru)の当局者らで構成された代表団が村民らと協議を持ち、その後に作業員らが解放されたという。

 運輸省の報道官はラジオ局RPPに対し、ペルーには5Gのアンテナはなく、アンテナと新型コロナウイルスの間に関連性はないと説明。

 村民らは作業員らに対し、解放されたければ、これまでに設置したアンテナを取り外すよう要求していたという。

 ジラット・ペルーの広報担当者は、8人は村を去ろうとしたときに拘束され、10日の夜から連絡がつかず、「村民は、新型ウイルスが電波で広がると誤解しているが、私たちの技術はワイヤレスであり、ウイルスは電磁波では広がらない」と述べていた。

 住民たちの窓口となった男性はラジオ局に対し、「彼らは拉致されたわけではない」と主張。技師らは自由に移動し、食事も与えられていると話し、8人が同地域に入ってきたのは夜間外出禁止令が出された後で、外出規則に違反していたために拘束されたと説明していた。

 ペルーは、中南米ではブラジルに次いで新型ウイルスの深刻な被害に見舞われており、6月13日の時点で感染者は21万4000人を超え、6000人以上が亡くなっている。ただ、海抜4000メートル近い高度にあるアコバンバ郡は感染率が非常に低い地域の一つだという。(c)AFP