【6月15日 AFP】東京都の小池百合子(Yuriko Koike)知事がAFPのインタビューに応じ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で史上初の延期が決まった2020年東京五輪について、2021年の安全な開催に向けて「120パーセントの努力をする」と話した。

特集:東京五輪、2021年に延期

 小池都知事は、感染症との闘いに対する人類の勝利の象徴として、全力で開催を目指すと話す一方、簡素化はすると認めた。都知事は開催の自信度については明言しなかったが、「120パーセントの努力をする」と話している。

 東京五輪は、新型ウイルスの影響で平時の五輪としては史上初の延期が決まった。ウイルスは世界中で人々の暮らしを一変させ、多くのスポーツ大会や文化行事が中止に追い込まれた。

 五輪は東京2020の名称のまま、2021年7月23日に開幕する予定だが、医療関係者からは、ウイルスを封じ込めて大会を安全に開催するには、1年の延期では足りないという懸念の声も出ている。そして、日本の五輪関係者と国際オリンピック委員会(IOC)は、再延期は現実的ではないと話している。

 それでも都知事は「希望あふれる大会の実現を目指して、感染症との闘いに引き続き全力を尽くしていきたい」「海外から来るアスリートにとっても、応援団にとっても、また東京や日本国民にとっても、安心で安全な大会にする」と誓った。

■「簡素化」を模索

 日本はこれまでに、新型ウイルスで1万8000人弱の感染者と900人以上の死者を出しているが、ほとんどの国よりも被害を抑えながら感染の第1波を切り抜けつつある。検査数を減らして実際の数字より少なく公表しているとの批判は根強いが、政府は致死率の低さについて、4月から5月にかけての緊急事態宣言と、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)に関する注意喚起が奏功した証拠だと話している。

 都知事も「2021年の夏の大会も、このコロナウイルスの影響が落ちつかないとできないということは都民は知っているので、そのことも一つの後押しになったかと思う」と話している。

 日本政府と東京五輪の関係者は、来年の五輪直前の感染状況を予測するのは時期尚早だと繰り返している。小池都知事は、現在の議論の柱は「簡素化やコスト縮減」であり、安全対策については「検査をどうするのか、ソーシャル・ディスタンシングをどれぐらい取るのかは、これからの話し合いによる」と明かした。

 延期に伴う追加費用の具体額はまだはっきりせず、スポンサーも混乱している。先日にはスポンサー企業の3分の2が、協賛契約を延長するかをまだ決めていないという調査結果も出た。都知事は、五輪はスポンサーにとっても「絶好のチャンス」であるため、「引き続き支えていただきたい」と訴えている。

 2016年から現職の小池知事は、7月の都知事選に立候補し、再選を目指すことを12日に表明した。以前は将来の首相候補とも言われ、2017年には短命に終わったが自民党の対抗馬と目される新党も設立した都知事だが、日本にあるのはガラスの天井ではなく「鉄の天井」だとも発言しており、日本初の女性首相を目指す意思は明確にしていない。

 少なくとも現在は「今回学んだことや経験を生かしながら、第2波に備える」仕事に奮闘している状況だという。(c)AFP/Hiroshi HIYAMA, Sara HUSSEIN