【6月13日 AFP】ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)英首相は12日、英国各地で発生している反人種差別の抗議デモについて、一部が「過激派に乗っ取られている」と述べた。英国ではデモ隊と極右団体の衝突をめぐる懸念が高まり、破壊行為も拡大している。

 首都ロンドン中心部では第2次世界大戦(World War II)を率いたウィンストン・チャーチル(Winston Churchill)英元首相や戦没者記念碑(Cenotaph)をはじめ、複数の銅像などに損害が加えられ、囲いで覆う保護措置が取られた。

 米国で非武装の黒人男性ジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察に拘束された際に死亡した事件を受け、世界各地で怒りの声が上がる中、英国でも抗議デモが発生している。

 公共の場に英国の歴史的遺産を提示する方法について再検討を求める声や、銅像の多くを撤去するか博物館に移設すべきとの意見も出る中、植民地時代の歴史的人物をたたえた銅像、記念碑、通りや建物の名称は、活動家らの標的となっている。

 ジョンソン氏は「差別に抗議するという正当な欲求」は認めるとしながらも、「過去を編集あるいは検閲しようとすることは今はできない」と述べた。

 また、「これらの銅像は、すべての過ちを含めて過去を教えてくれる」と指摘。「それらを取り壊すことは歴史を偽ることであり、次世代の教育の質を低下させることになる」と述べた。(c)AFP/Alice RITCHIE / Phil HAZLEWOOD