【6月13日 AFP】サッカーイタリア杯(Italian Cup 2019-20)は12日、準決勝第2戦が行われ、国内3か月ぶりとなる公式戦の再開でユベントス(Juventus)が0-0でACミラン(AC Milan)と引き分け、2戦合計スコア1-1ながら、アウェーゴール差で決勝進出を決めた。

 セリエA王者のユベントスは、74分間にわたり10人の戦いを強いられたミランを相手に精彩を欠き、クリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)がPKを外す場面もあったが、2月に敵地サン・シーロ・スタジアム(San Siro stadium)で行われた第1戦を1-1で引き分けており、決勝の地ローマへの切符を手に入れた。

 スタディオ・オリンピコ(Stadio Olimpico)で行われる決勝で、マウリツィオ・サッリ(Maurizio Sarri)監督率いるユベントスは、ナポリ(SSC Napoli)とインテル(Inter Milan)の勝者と激突する。新型コロナウイルスの影響で3月にシーズン中断に突入する前に、ユベントスが最後に対戦したのはインテルだった。
 
 アントニオ・コンテ(Antonio Conte)監督が指揮を執るインテルとの準決勝第1戦を1-0で制しているナポリは、13日に本拠地サン・パオロ・スタジアム(San Paolo Stadium)で第2戦に臨む。この試合も無観客という異様な雰囲気の中で行われる。

■ウイルスの犠牲者を追悼

 イタリアでは新型コロナウイルスで亡くなった人々が3万4000人以上に上っており、その大半はユベントスとミランが拠点を置くピエモンテ(Piedmont)州やロンバルディア(Lombardy)州など北部に集中している。

 両チームはキックオフ前にウイルスの犠牲者に1分間の黙とうをささげた後、3人の医療従事者を囲んで拍手を送った。

 また、試合前のウオームアップでは、米黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんの死をきっかけに世界に広まった抗議デモに連帯し、ユベントスが「No Racism(人種差別反対)」のメッセージが印字されたTシャツを、ミランが「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」と書かれたトップスを着用していた。

 ユベントスの本拠地アリアンツ・スタジアム(Allianz Stadium)周辺に集まったファンは、AFPの取材に対して、イタリアが徐々に日常を取り戻しつつある中でサッカーが再開されたのを見てうれしいと語った。しかしながら、同国では当たり前の風景となっている情熱的な応援がない状態で試合を行わなければならないのは悲しかったという。

 イタリアで最も被害が大きかった地域の一つである北部ベルガモ(Bergamo)から来た47歳のファンは、「応援するファンの存在を頼りにできないのは、チームにとってつらいことだ」「スタジアムには常に声援があってしかるべきだと信じている。残念ながらこの現状において、私たちはひたすら待ち続け、全てうまくいくように願うしかない」と語った。(c)AFP