■黒人記者への処分が物議

 米紙USAトゥデー(USA Today)の元編集長、ケン・ポールソン(Ken Paulson)氏は、多様性に欠いた職場は日々の報道で問題を生むと指摘。スキャンダルや暴力事件がない限り、有色人種コミュニティーについて十分に取り上げないメディアが多いと説明した。

 ピッツバーグ・ポスト・ガゼット(Pittsburgh Post-Gazette)紙は今週、反人種差別デモに関連した建物の被害について個人用アカウントからツイートをした黒人女性記者に対し、デモ報道への関与を禁じる処分を科したことで、批判の的となった。同紙は客観性の保持を理由としているが、渦中の記者であるアレクシス・ジョンソン(Alexis Johnson)さんは、「黒人の問題」についてツイートしたことで自分だけが処分されたと主張している。

 ニュースメディアの多様性促進を目指す米団体メイナード・インスティテュート(Maynard Institute)のマーティン・レイノルズ(Martin Reynolds)共同事務局長も、同紙の論理を疑問視。客観性の概念は「誤信」であって、必要なのはむしろ公平性だと指摘し、そのためには個人が持つ偏見の自覚が必要だと語った。

 インターセプトのレイシー記者もAFPの取材に対し、多くの報道機関が抱える問題として「非白人の記者や従業員の言葉を偏りのないものとして受け止めることに対する大きなためらい」があると説明。こうした編集体制が、白人の見解に大きく偏った報道につながってきたと語った。(c)AFP/Maggy Donaldson and Thomas Urbain