【6月12日 AFP】韓国のソウル家庭法院は12日、幼少期に米国の里親の元に国際養子として送り出された韓国生まれの女性について、実父の娘と正式に認める画期的な判断を示した。

 訴えが認められたのはカラ・ボス(Kara Bos)さん(38)。家庭法院はボスさんを実父の家族関係登録簿に入れるよう命じており、国際養子に関する訴訟における判例となる可能性もある。

 実父の親族らは、オンラインのDNA鑑定で血縁関係が証明されたにもかかわらず、ボスさんとの関わりを望まなかったといい、口頭弁論にも姿を見せなかった。

 ボスさんは2歳の時に親に捨てられ、米国人家族に養子に出された。訴訟に乗り出したのは生みの母親の身元を特定するためで、弁護団によると今後は実父の親族の公的な記録を照会することが可能になる。

 判決後、ボスさんは報道陣に対し「今日は私たち養子がようやく権利を得られた重要な日だ」「家族と接触できるという権利を一切持っていないことは苦しかった。これが韓国で変わることを願っている」と感情をあらわにして語った。

 かつて韓国は国際養子を最も多く送り出す国の一つだった。1950年以降、少なくとも16万7000人の子どもが海外に送り出されている。

 しかし、養子の権利よりも生みの親のプライバシーを優先する法律により、韓国に戻った養子たちが公的な記録を確認することは非常に難しく、国際養子をめぐる問題は長い間秘密のベールに包まれ、また汚点とされてきた。

 来週ボスさんは実父と面会する予定で、実父が自身の出生について明かしてくれることを願っている。ボスさんはカメラに向かって初歩的な韓国語で「オンマ(韓国語でお母さん)、あなたに会いたい」「謝らないで。ただ会いに来てほしい」と訴えた。(c)AFP/Claire LEE