【6月12日 AFP】スペインの動物園で、母親に育児放棄されたホワイトライオンの赤ちゃんが人工哺育で育てられている。「ホワイトキング(White King)」と名付けられた生後10日の雄の赤ちゃんライオンを、飼育員たちは「テディベアに命が宿ったよう」だと言ってかわいがっている。

 ホワイトキングは5月31日、南部セビリア(Seville)近郊の動物園「ムンドパーク(Mundo Park)」で生まれた。

 この動物園でホワイトライオンが出産したのは初めて。だが、フアン・ルイス・マルパルティダ(Juan Luis Malpartida)園長は「ひどい出産だった」とAFPに語った。4年前にタイから来た母ライオンは「出産まで14、15日間苦しみ続けた」という。

 母ライオンは出産から3日間ずっと赤ちゃんに授乳しなかった。母親が「わが子に一切注意を払っていない」ことに気付いた飼育員が赤ちゃんを救出したときには、脱水症状を起こし「低体温と低血糖」になっていたという。

 ホワイトキングはその後、ミルクと愛情をたっぷりもらって元気を取り戻した。マルパルティダ園長の腕に抱かれ、丸くなって眠ることもある。10日には頭を上げて走ろうとする様子も見られた。

 新型コロナウイルスの影響で3か月間閉園していた動物園は、11日に再開した。飼育する動物3000匹の中でも、ホワイトキングは人気の的となりそうだ。

 映像は10日撮影。(c)AFP