【6月12日 AFP】反人種差別デモの広がりを受け、世界各地で奴隷商人や植民地支配に関わった人物の像が撤去・破壊される中、かつて奴隷貿易が盛んだったフランス南西部の都市ボルドー(Bordeaux)市は、市民らに違ったアプローチで過去の歴史を伝えようとしている。

 赤ワインで有名なボルドー市だが、植民地時代の過去を持つ都市でもあり、市内には奴隷商人の名にちなんだ通りが五つ存在する。

 市当局は今週以降、これらの通りに歴史的背景を説明する標識を設置していく予定で、標識にはさらに詳細な情報が掲載されたウェブサイトにアクセスできるQRコードも表示される。

 ただ、通りの名前自体を変更する予定はないという。

 ボルドー市はかつて奴隷貿易における国内第2位の港町であり、1672年から1837年の間に15万人の奴隷をアフリカ大陸からアメリカ大陸に送り込み、欧州にココア、砂糖、綿花などを供給して大いに繁栄した。市内には奴隷商人の名が付いた通りなど、今も植民地時代の過去の跡が残されている。

 ボルドー市はここ数年、奴隷制度と同市の関わりについて学ぶ徒歩ツアーを考案したり、現在の中米に送られた奴隷の像を設置したりするなど、植民地時代の歴史と向き合う取り組みを進めていた。(c)AFP